フ――。
煩い梓も部活へ行ったことだし学校見学でもしてゆっくり帰ろうかと帰りの用意をしていると教室のドアが開いた。
ガラッ
「………」
『………』
忘れものを取りに来たのだろう部活着(どこのかわからない)姿の男子が入ってきたのだが教室に残っている人が居ると思わなかったのかとても驚いていた。
かくいう私も人が来ると思っていなかったので大変驚いているのだが。
そして現在。
目があってしまった手前はずすのもあれかとお互い見つめ合ったまま静止している状況だ。
ちょっと誰かどうにかして。
「フム……確か宮地清子だったな。宮地は部活へは行かないのか?」
確かとか曖昧な言葉遣っている割に確信めいているのが気になるがその前にこの糸目少年は誰なのだろうか。
「柳だ。柳蓮二、お前と同じクラスで籍は斜め後ろだ」
頭にハテナマークでも浮かんでいたのだろう。
親切に名乗ってくれた。
というか結構近い席の人だったらしい。ずっと回想に浸っていたから自己紹介とか聞いてなかったわ。なんだか申し訳ない。
『柳ね、ごめん。部活は怪我が治るまで休んでて良い事になってるの。てかあれ?自己紹介の時部活入ってるって言ったっけ??』
確か名前と出身中学と一言しか言ってないよ私。
「宮地清子、身長171cm元帝光中女子バスケ部主将。PGで三年連続帝光バスケ部を全国優勝に導いた女子バスケ界の重鎮…」
待って?!!ちょっと待って?!!よし待とう?!!
『ちょっちょっと待って?!なんでそんなに詳しいの??いやまじ気持ち悪い』
つい本音が出てしまったがもしかしたら柳はバスケ部なんじゃないだろうか。
月バスに何回か特集載せてもらったし。
だとしたら申し訳ない。
「すまない、データ集めが趣味なものでな。それに宮地のデータはすべて月バスのものだぞ」
『ってことは柳もバスケ部なわけ??』
「いや……「柳君どうなされたのですか??」……柳生」
「普段道草しない柳君の事ですから何かあったのではないかと思いまして捜しに来たんですけど……」
「すまない、宮地と少し話をしていたんだ」
また新しい人が来た。今度は何考えているかわかんない眼鏡。
柳も大概何考えているか分からないけど。
「宮地さん??……ああ」
私の顔を見て納得したらしい彼もきっと同じクラスなんだろう事はわかった。
でも名前は分かんない。
『ごめん、先に謝っとくけどきみ誰??』
何度も言うけど聞いてなかったんですよ。
「すみません、柳生比呂士と申します」
『柳生だね、ごめんね柳引き止めちゃって。私もちょっと学校見学したら帰るから』
「ああ……」
『二人共部活頑張ってね』
二人共同じ部活のようだが結局どこの部活なのだろうか。
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