「清子っち、おかえりー」
『ああ、涼太か。ただいま』
家に着いて玄関のカギを開けているとコンビニ袋をぶら下げてラフな格好をした涼太と遭遇した。
「清子っち遅かったっスね。部活まだ駄目なんじゃないんスか??」
『梓待ってたからね。今日は適当に学校散策して来たんだよ』
「そうなんスか」
『あんたこそ今日部活だったんじゃないの??帰ってくるの早くない???』
森山家兄はまだ帰って来ていないようだったのでおそらく部活だったのだろうと当たりを付けて聞いてみた。
「あー今日は部活行かなかったんスよ。どーせ個人プレーっスから俺が居ても居なくても変わんないし」
やっぱりあったのね。
それにしても至極つまらなそうな顔をしているな。
私の知る限り、海常はそんな悪い学校でも部でもないけど。
『まぁ一応練習には出たほうがいいわよ。試合の際に何があるかわからないからね』
「清子っちは俺が負けると思ってんスか??」
心外っスとでも言いたそうに頬を膨らませている。
男が頬を膨らませていても可愛くもなんともないぞ。
『そこら辺の学校に負けるとは思ってないけどキセキの世代が全員違う学校に行った以上何が起こってもおかしくないわ』
「それはそうっスけど……」
『一人の力じゃ勝てるものも勝てないわ。馴れ合えとまでは言わないから相手を知る位はしておいた方が良いよ』
「か、っ考えとくっス」
『涼太は良い子ねー』
よしよし、と頭を撫でてやると気持ち良さそうに目を細めていた。
大型犬め……。
「めちゃ棒読みっスけど頭撫でてもらえて嬉しいんで良いッス!!!」
『はいはい。じゃあ私家入るわ』
「おやすみなさいっス」
家に入って携帯を開くと森山兄から“清子来てたの?!!由孝会いたかった!!!”なんてメールが来ていたのでそっと携帯を閉じた。
私は何も見ていない。
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