01.


今は戦乱の世。


私(わたくし)の家は代々伝わる大国の大名一族。


アキアカネ城という立派な城を構え、申し分ない民と兵を持った平和な国でした。



でも、落城した。



この時代、大国の落城なんてなんら不思議な事ではなかった。


だから仕方ない。

アキアカネ城の姫である私が、兄と二人だけになってしまっても仕方がない事だったのだ。

秋茜の性を捨てなければならないのも仕方のない事。


今は生きていく事だけを考えなければならない。


そうだ、忍びに。


忍びになろう。


私の家族を民を兵を国を殺した忍びになろう。




そうすれば、自ずと見えてくるはずだから。


私の判断が間違っていたのか、そうでなかったのか。






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