10.


「なぁ兵助、その子は……??」

「いおりなのだよ」

我慢できなかったのか灰色のぼさぼさ髪の男の子が私について尋ねてきた。

「ああ、あの忍たま唯一の女の子か」

双子の様な片割れのその一言で私の居心地は悪くなってしまった。
悪気がないのもわかっている。

でも、どうしてもあの時の事がよぎってしまって胸が苦しくなる。

「うちの組の奴も君の事苛めてたんだよね、本当にごめんね」

一人に続いてそこに居た3人全員が次々と謝罪してきた。

彼等の顔は直接見た事はない。
だから関係者ではないのだろう。

それなのに謝ってくれる彼等は流石勘ちゃん達の友人と言うべきか。

『別にいいんですよ。気にしていませんから』

気にはしていない。
でも怖いものは怖い。


こんな態度なのは仕方のない事と思ってもらいたい限りである。

申し訳ないけれど。


その後すぐに実習が始まってしまったのでその日彼等と関わる事は無かった。

くじで兵助と一緒だったのも手伝ってだと思うが。






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