森山先輩と私



『突然ですが森山先輩。右腕見せて下さいな。』

自主練も終わり現在黄瀬、小堀、早川待ちで俺と笠松と優子は更衣室の前に居る。

「いいけど……はい。」

優子の行動が詠めない。

笠松もそれは同じようで優子と一緒に俺の腕を見つめる始末である。

傍から見たらなんと俺たちは滑稽なかっこをしているのだろう。自主練終りが幸いしたな。

『ほへ―――やっぱり。』

「優子ちゃん。よくわからないのだけど。」

『あ、すみません。いやあ独特なフォームでシュート打ってるじゃないですか。普通だと手首を痛める打ち方なんですよ、あれ。私も見よう見まねで試してみようとしたんですけどフォームから無理でした。だからと思ったんですけど、先輩の手首普通の人より柔らかいですね。』

そう言いながら俺の手首をくねくね動かしてる優子。

彼女にとっては普通の動作でも女好きな割に経験のない(悲しくなってきた)俺にとって恥ずかしさ極まりない話である。

てか確信犯なんじゃないか実は。

「おい優子。森山が照れてるからやめてやれ。」

助け舟なのか笠松がにやにやしながら止めた。なんなのこいつうぜぇ。

『??…よくわからないですけどやめます。』


そんなことをしていたら全員着替え終わったのか更衣室から出てきた。


帰り際に俺の耳元で“いくら手首が柔らかくても怪我しやすいことには変わりないんですから無理とかしないでくださいね”と言って行った彼女はやっぱり確信犯なんじゃないだろうか。

俺の耳が赤くなってないことを願ってその場を後にした。

(補足:主人公の入部が遅かったので仲良くなるためにと下の名前で呼んでる海常バスケ部員設定