「仕事慣れた?」

「うーん、まあまあ慣れたかも」

潜入先で「仕事の先輩」として知り合った時はこんなことになるとは思ってもいなかった。
相手もそう思っているんだろうけど、ヤリマンでさえなかったら本気で付き合いたかった。いや、わからんけど。

「まさか、部長じゃなくてあのへっぽこリーダーがねえ。あのショボいリーダーのせいで倒産までするとは…」

あれからの話を聞くと潜入期間の終了同時に潰れた方が転職もスムーズだったんだろうな、と同情してしまう。たった一人が逮捕されてから二ヶ月後に倒産とは犯罪と無縁な人間からしたらあの案件もトイレに流れたうんこどころか小便クラスなのだ。やっと就いた仕事は望んでいなかった職種らしい。

「あー、思い出させてごめんごめん」

「なんでそこなの。頭撫でてよ」

情事の後に向かい合って横になっていた ままのナマエの尻を撫でると、頭にしろ、と文句をつける口があるくせに俺の尻を同じように撫でた。

この可愛くない口と可愛い行動が彼女だったら正直、まじで可愛いと思う。
副長に惚れてなきゃ俺が惚れていただろう。

副長と話している時のナマエ はまるで別人のようで俺は好きじゃない。



お互いに誰とでもセックス出来るタイプじゃないってのはわかっているけど、どうしてこうなんだろう。
俺からがっついて手をつけたわけでもないし、誘われた感じでもないし、自然な流れだった。
セフレだなんて簡単言い切れるほど冷めた関係でも無いと思ってる。

「あー、尻でも気持ち良い」

「お尻だけでいく?」

「いかないよ」

それ、俺が言ったほうが男らしくない?

考えたくないけど、副長がいるからこんな関係が続くんだろうか。
俺と ナマエの関係は恋とか愛じゃない。

「本当、 ナマエってなんか残念でもったいない」


そうかな?、なんて良いながら首筋に顔を擦り寄せてくる。本当、可愛いのにやっぱりこの娘とは付き合えない。







嗚呼、ばかなこ
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