「そういえば、何年目?」
「今年で六年目ですけど」
この六年間、気がつかなかった。研修先でも銀髪の人を見たことが無かったし、そもそも三年程前にこの土地に居なければ会うことは出来ないはずだ。
「は?えっ…?お前いくつだよ!?大学生って言ってなかったっけ!?」
「言いましたっけ?坂田さんこそニートだったのに随分と早い出世ですね…」
「俺ニートだったっけ?支店潰したからこっち来ただけだし」
「なるほど」
作業も片を付き、自宅と同じ方向にある焼肉屋に私達は立ち寄った。 注文をした肉が届くまでは明日は初日だから朝礼の三十分前には来ておけ、とか上司らしい職場の話をされていたのに 品が揃い、肉を焼く音が響いたのと同時に黒歴史を蒸し返されていた。
銀子はニート、マリン (私)は女子大生。 たいした年じゃないが二歳、詐称させて頂いていた。 本当は専門学校卒業後、なんとなく派遣された今の会社で気がつけば本社雇用になり仕事くらいは真面目にやっていただけ。
「んだよ、ババアかよ」
「そこまで歳食ってないですよ」
「「アタシこういうとこ初めてでぇ〜」って演技だったろ」
「初めてだったら普通ニートに着いていかないし」
「あぶねぇだろ。俺で良かったっつーかなんつーかね…」
せっせとトングで肉をひっくり返し手際良く塩や薬味を焼かれた面に乗せていく銀子の姿を見てネットでニートを演じるより、リアルで知り合った女性に尽くせばやりたい放題出来なくもないだろうと思った。
「ほら、焼けてるって」
トングから箸に持ち替えられ、程よく焼かれた肉が私の皿に盛られて行く。
「ありがと」
「これから毎日 ナマエちゃんに会えるとか嘘みてぇ」
「私も信じられない」
JDって嘘かよ
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