「秋ちゃんたすけてー!!」
「…へ?」
今にも泣きそうな声で教室に飛び込んできたなまえ。
あまりの勢いと泣きそうな声で私だけじゃなくクラスの人たちまで振り返った。
「ど、どうしたの?」
「グスッ…風丸くんに、チョコ、渡せない……」
あぁ、そうゆうことね…
なまえちゃんは風丸くんに恋をしている。
ついでに言うと風丸くんもなまえちゃんに恋をしている。
要するに、両想い。
ただ、お互いがそれに気づいていないだけ。
周りはきっとみんな気づいてる。(円堂くんは気づいてない)
「せっかくバレンタインだったから作ったのに…このままじゃ自分で食べることに…」
「大丈夫!みんなに協力してもらおうよ!!」
「えぇ!?」
なまえちゃんがせっかく作ったのに、食べてもらえないなんて悲しすぎるもんね!
「さ、行きましょうなまえちゃん!」
いやだ!とぶんぶん頭を横に振っているなまえちゃんをみんなのところに引っ張って行った。
「風丸に?」
「う、うん…」
円堂くんが聞き返した。
「ど、どうすればいいかな……」
「どうって言われてもなあ…;」
「もじもじしないで渡してくればいいだろう」
「それが出来ないから困ってるんだよ鬼道くんのバカ!」
「まあ、落ち着け;」
苦笑いする円堂くん、
見るからにめんどくさそうな顔をする鬼道くん、
泣きそうななまえちゃんをなだめる豪炎寺くん。
「朝練の後に渡せばよかったんじゃないのか」
「……風丸くん女の子たちにつかまってたから…」
「「「……」」」
「なまえちゃん遠い目しないで!」
きのこでも生えてきそうな勢いで落ち込む姿に三人は言葉が出てこないみたい。
せめて慰めてあげようよ……
「でも、風丸喜ぶと思うけどね。お前からのチョコ」
「俺がどうかしたのか?」
「っ!?か、風丸くん…!?」
ヒョコっと現れた途端に、動揺するなまえちゃん。
余りの動揺に、豪炎寺くんの後ろに隠れてしまった。
「ん?なんだ?」
「いや、なんでもないぜ、風丸!」
「あぁ、そうだ。みょうじがお前に用があるらしいぞ」
「え!?何言ってるの鬼道くん!?」
「向こうで話してきたらどうだ」
「豪炎寺くんまで!?」
豪炎寺くんに前に引っ張り出された。
「…じゃあ向こういくか?」
「え!?う、うん、そうだ、ね!」
なまえちゃんが風丸くんに手を引っ張られて廊下に出ていく。
…「助けて」と目で訴えて来てたけど、今日は無視……。
ごめんね。
「で、話って?」
「あ、あの、あので、すね…」
「大丈夫か?;」
ぶんぶんと、もげそうな勢いで縦に頭を振る。
「あ、のね……風丸くんって、甘いもの好き…?」
「あぁ。大丈夫だぜ」
「そっか!じゃ、あさ…えっと…えぇーっと……」
「…チョコ、くれるのか?」
「へ?」
恥ずかしさで風丸の顔が見れていなかったなまえがようやく頭をあげた。
風丸がほほ笑んでいる。
「え、っと…」
「あ、悪い。急すぎたよな;
えぇっと……俺にも、チョコくれないか?」
「…も?」
「朝練後、円堂たちにあげてただろ?」
「!」
風丸くん、見ててくれたんだ……。
「はい、これ、…風丸くんの分」
可愛くラッピングされた袋を風丸に手渡す。
「ありがと」
「!」
にかっと風丸が笑う。
「(顔が、熱い…)」
「それとさ、」
「?なに?」
「俺、お前のことが好きだ」
「……ん?」
風丸の言葉になまえの動きが止まる。
「えっと…」
目の前では恥ずかしそうに風丸がわらっている。
「……わ、私も、風丸くんのこと、好きだよ!」
「!ほんとか?」
「う、うん!」
「そ、っか…」
風丸が手で口元を覆う。
わずかに耳が赤い。
「嬉しいよ、なまえ」
片思い⇒両想い
(なまえちゃんうまくいったみたいだね!)
(まったく、面倒くさいやつらだ)
(まぁ…まとまったんだからいいんじゃないのか)
(?あいつら仲良いよな)
(((……)))
* * *
今更ながらバレンタイン^p^←
遅すぎるにも程があるという話ですよねすみません
ホワイトデーver.も書きたいな!
2012.03.05 夕凪
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