「きりーつ、れーい、おわりまーす。」

なんで今日の日直は終業の挨拶さえもこんなに面倒そうに言うのか。
起立、礼、終わります。そんだけだろうに。

がたがたっとクラスメイトが椅子を鳴らせ、友達としゃべりだし、休み時間は騒々しくなった。
皆元気だよなぁ。何でこうも疲れる授業のあとに教室を駆け回るやら、やかましく騒げるのか・・・なんかなぁ。
べちゃっと机に突っ伏して隣の席をながめる。隣の源田はさっきまでの授業のノートやら教科書やらを仕舞ってるところとみた。
そんなの机ん中につっこんでおきゃいいのに、いちいち授業ごとに仕舞うとかコイツは顔によらずというか何というか。

「・・・げんだー。」

「どうした、みょうじ。」

「・・・いや、別に。」

「そうか。」

・・・・・・ちくしょう。
一言、何か言ってやろうと思ったのに。こいつは。
いや、別に源田は悪くはない。いやでも原因はこいつだしなぁ。

「げんだー。」

「何だ、みょうじ。」

「あんたさあ、いちいち返事するよね。」

そりゃな、呼ばれたら返事はするだろ。
まあそうだよねー。

自分でも当たり前のことを何言ってんだか、と思うのに源田を律儀に答えてくれる。
なのに気が抜けたように返事をする自分はなんなんだろう。
いや、でも仕方ない気がするんだよなあ。
源田は私の方を見て首をかしげる。いやそんな、小首をかしげるとか可愛くはないぞ。

「どちらかというと源田はかっこいい系というか。」

「おい。」(いきなり、何を言いだすんだこいつは。)

「何、源田。」

「みょうじ、今、何の話をしてるんだ?」

「いや、別に。んで源田はなんで首をかしげてたの?」

声に出てたことに少しびっくりしつつ、質問に質問で返してみる。
会話のキャッチボールなんてする気はないんで。
・・・正直声に出ていた内容がいかんせん恥ずかしすぎた。
源田はというと、私の方に向いて椅子を座りなおして、突っ伏す私を眺める。
こっち見んな、イケメン。

「・・・なんか今酷いような酷くないようなこと考えてなかったか?」

「エスパーか貴様は。」

いや、違う。とかこんなところまで律儀に返事をする必要ないと思う。
源田はやっぱり顔によらずアレだよ。うん。・・・別に意味はないけど。

「・・・みょうじが変な顔をしていたからどうしたのかと思ってな。」

「ふうん。そう。」

「で、変な顔して何を考えてたんだ?」

「何かその言い方嫌だ。」

「すまない。」

謝んな。まあでも・・・。

「そもそもなあ、源田が悪いわけでもないけど原因は源田なんだよ全部。」

と言ってみる。
そうか。とやっぱり律儀に返事をする源田。
律儀というか気が長いのか優しいのか。
そうか。
コイツは顔にペイントなんかしてるくせに気が長くて優しいのか。
ああ納得。

「源田は優しかったのか。」

「みょうじは俺のことを何だと思ってたんだ。」

「源田が優しいのが悪い。」

「・・・・・・。」(スルーか。)

私の呟きに毎回毎回律儀に返事してくれるし、私のこと気にかけてくれるしさぁ。
優しいしイケメンとかさぁ。

源田から顔をそらしてボヤいてみる。
イケメンに眺められるとかまじ心臓持たないからね。

だからさー

「返事されてもこっちが何も言えなくなるんだわ。」

私の言うこととか毎回くだらないんだから、そんな優しく返事されても困る。

消えそうな声で抗議してみれば、机にうつぶせに突っ伏した私の頭に柔らかい感触。
ああちくしょう。これだからイケメンは。・・・違うな。

「・・・・・これだから源田は。」

「悪いな。」

むくりと起き上がってみれば私の頭から手をどけて優しい笑みを浮かべる源田。

「・・・源田はこれから笑顔禁止な。源田はイケメンだから。」

「それは無理な相談だな。」

即答すんなや。
私が顔を顰めれば、眉を下げてやっぱり優しく笑いながら言う源田が一言。

「俺が律儀に毎回毎回返事をするのはお前が呼ぶからだ。」

お前だから、なんだ。



ああそう。と返すのが精一杯で私は机に沈みました。
源田のくせに反撃とかすんなや・・・。


「弁当一緒に食うか。」


えーあーうん。

「・・・げんだー。」

「なんだ、なまえ。」

「〜〜〜っ、いやっ、別にっ、何でもない!」

「そうか。」(・・・俺の勝ちかな、なんてな。)





会話ができない件について。



(・・・・・・・おい辺見、あのバカップルどうにかしろ。)
(佐久間、無茶言うな。あの中に乱入とかホント無理だろ。)
(・・・使えねー奴。)
(なっ!佐久間が行けばいいだろうが!!)
(今の源田、気持ち悪いから無理。)
(ひでぇ言いようだな!!)


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初イナイレ夢。うっすく源田のこえ。
(20110503)(20110522修正心の声一個追加)

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