3. 西蓮寺 詠斗
玲奈は目立たない様に無理矢理着替えさせられたドレスから元の服に着替え、街で気付かれないように布で顔を覆っていた。
『そういえばお腹すいたなー。まずはこの贅沢なドレスと何か食べ物でもお金に換えて、交換出来ないできないかなー?』
飲食店の店先で玲奈はドレスを差し出した。店員は当然困った顔をするので、衣服を買い取る店を尋ねてみた。すると、そこで食事をしていた紳士が突然立ち上がり、玲奈に声をかけてきた。
「おや、その格好は異国のお嬢さんかな?」
『は、はぁ……(違うけど…)?』
「このドレスの代わりに食事…お金が欲しいってわけか。見たところこのドレスはかなり高級品だから、貿易商の友人を紹介するよ、丁度この近辺に住んでいるからさ。あぁここでの食事は奢ってあげる。」
『き、恐縮です…。感謝感謝です。』
たまたま入ったのがスペイン料理店で、玲奈は生まれてこの方食べた事のない不思議な料理を堪能した。それからこの親切な紳士に街を色々と案内されて、日本人じゃないフリを頑張った。
「君にはこの着物なんかも似合いそうだけど、やっぱり西洋人だからワンピースやドレスが映えるね。」
はぁ…この黒髪ロングが西洋人に見えますか?それでも紳士は私に似合いそうな洋服を何着か買ってくれた。髪を覆ってる美夜を見て、目立ちたくないと思った気遣いからだった。
「あーっ!西蓮寺さーん!」
話していた貿易商の男性だと紹介されるが、身なりからは想像もつかない。どう見たってハゲ頭の見事なまでに超美形美肌の寺の僧侶だ。
「こちらは異国からきて彷徨っている玲奈さちゃん。とりあえず、このドレスと食事、お風呂、住居と交換してあげてー。」
「あー!今奴らが血眼になって捜してる…話題の”玲奈”って子か。」
玲奈はあの屋敷の関係者にバレてはまずいと直感で体が動き、一目散に走り出した。あの紳士さんも僧侶も必死になって追いかけてくる。どうしようこのままじゃ捕まっちゃう…。
「あれが破格の懸賞金が出てる少女ねぇ…確かに可愛いけど。」
いつもは去る者追わずな僧侶が、分け目も振らずしつこく追いかけて来る。玲奈は怪しげなネオン街に辿り着くも、とうとうその手を掴まれた。怪しげな西蓮寺という寺まで連れて行かれた。
「この寺はガキは入れたくないんだよ。お前は特例中の特例だ。」
「とかまたまた言ってぇ、今ではきゃわいい子供達で溢れ返ってるじゃないですかぁ〜詠斗さぁん。」
暗闇から鬱蒼と姿を現したのは、詠斗と呼ばれている人より美形というわけではなく、ちょっと顔が整っている程度の男性。色っぽい唇と色白な肌、黒目がちな瞳と口調がどこかオネエ…中性的らしい。
私は離れの埃臭い小屋へと追いやられた。一体何時代の建物だよ。
「…あなたも一味に狙われているのですね?!私も人攫いから逃げ出してきたんですっ!家族の元に帰れるまで、こんな場所で身を隠さなくちゃいけないなんて…。でもあなたが来てくれて心強いですっ!」
中には10歳位の少女がもう一人いた。あーこんな小さな子まで、一体この長閑な町で何が起きているんだろう。よくよく考えてみればガキ扱いされてるけど、私って十分独り立ち出来る歳だよね。
私は翌朝、本陣まで出向いて詠斗さんに仕事を下さいと頼みに行った。が、呆気なく断られ庭掃除でもしてろと言われた。掃除の最中に、またあの紳士の姿があった。どうやら詠斗さんと頻繁に顔を合わす仲らしい。視線が合うと私は慌てて頭を下げた。
「お庭掃除か〜エラいエラい。ってか君日本人だったんだってぇ?私に嘘をつくなんて酷いじゃないかぁ〜!」
(あはは、最初に欧米人だか決めつけたのはアナタですよ…。)
数日経ったある晩、思わぬ客人がやってきた。詠斗さんがどこからか酔っ払って帰ってきて、なんと女性まで一緒に連れ込んできた。
「きゃ〜詠斗様〜お辞めになって下さい〜!」
酔った詠斗さんは女にまとわりつくただのエロ僧侶で、なぜか女もノリ気で異様な光景だった。玲奈は咄嗟にしゃがんで身を隠すも見つかってしまい、呂律が回らない口調で腕を掴まれた。
『うっ詠斗さん……、酒臭い。』
玲奈は顔を背けるもそのまま大木へと追いやられて、唇を奪われた。一見細身なのに力はある、筋肉質の細マッチョみたいで。
『ん……んんん!詠斗さん、正気ですかっ!』
「しかしお前、美しいなぁおまえぇ………。」
詠斗は酒に酔いフラつきながらも、構わず口づけを繰り返してきた。連れの女がそんなやり取りに気付いてこっちに凄い形相でやって来たが、詠斗はかまわず手を振り払った。
「アンタの価値は〜せいぜいこの姫様の100分の1だからねぇん。」
女は啜り泣きながら走り去って行った。この男最低だ…と思いつつも石段の上へ押し倒された玲奈は、危険な状況に追い込まれていた。
「このまま部屋へ来てくれたらさぁ〜、玲奈ちゃんに今よりもっと金回りのいい、お仕事あげるよぅ〜。」
悩みに悩んだ挙句、玲奈は渋々と詠斗について行った。この男は寺の僧侶ながら副業で金を動かすのは見てて上手い。こちらも上手く使ってやれば、新しい土地で生活を取り戻す手段にもなる。玲奈はこんな時こそ、女の武器を使うべきだと決心した。
『…実はですね、とにかく今はまとまったお金が欲しいのです。詳細は言えませんが……。』
玲奈は怪しげな人物にこれまでの生い立ちや、記憶喪失になった経路までを話すのは危険だと察知した。
「ならば、今夜は私のお相手をしていただけますか?」
『あら…………、私の身体は安くないですよ?』
寺の本陣の一角に、周りの森の音とは明らかに違う声が響いていた。
『ん、んッ………ぁあ……い、痛い………ッ……!』
若い少女の甘く切なそうな声。そして、押し殺したようなくぐもった声が、突き抜けの廊下まで丸聞こえだった。
衣服を脱がされて露になった玲奈の背中に、熱い詠斗の吐息がかかる。背中に添えられた手が胸を鷲掴みにされて、痛いくらいに握り締める手に玲奈は声を詰まらせる。
「そんなにデカくないけど、丁度掴みやすいサイズだよねぇ。ガキは嫌いだけど、ナカの具合もまた堪んないねー!」
足を無理矢理に開いて玲奈の口を大きな手で塞ぎながら、詠斗の熱く逆立つモノで処女を失ったばかりの秘部を、かれこれ一時間は休む間もなく貫いている。
初めて交わったのに、まるで何か恨みでもあるんじゃないかって位。笑いながら幼い体に容赦なく、荒々しく何度も腰を打ち付けている詠斗。気遣いもなくただ痛いだけの行為に、玲奈は涙が溢れ続ける。
「チッ、まだ狭いな。もっと力を抜け……!」
『痛っ、ほ……本当に、もう…むり…ですっ!』
玲奈は秘部の痛みに耐えるだけで精一杯ながらも声を絞り出し、手酷く扱う詠斗を睨みながら口元を塞ぐ、その手に噛みつこうとした。
「俺はお前を優しく抱く気はないからな。金はくれてやるんだ…後はしたいようにするだけだ……!」
詠斗はそう冷たく吐き捨てると、噛みつこうとした玲奈の唇を強引に奪った。更に胸を形が変わる程に強く握られ、詠斗の鼻筋の通った高い鼻が、フゥッと荒い鼻息をたて始めた。
キスや胸元への刺激で頭が変になっているうちに、無理な体勢にさせられてさらにナカを締め付けてしまい、押し迫る圧迫感が増す。既に虫の息な玲奈にかまわず耳で囁かれる卑猥な言葉。
「いやぁ…ぐちゅぐちゅしててエロいぜ…!」
『やっ!ぁ、ん……っも、止め……っ!』
限界まで押し拡げられている玲奈と自身の結合部を、指でくにくにとさらに刺激を与える詠斗。徐々に男のペニスが鈍い音を立てて、最奥を目指して徐々に埋められる。
『ひああっ!!…なっひあああっ!! やめっ!!』
「はっ…おぼえとけよ、ソコがお前のイイとこだ…!」
詠斗が硬いペニスがある部分を擦った瞬間、玲奈は思わず悲鳴を上げた。玲奈の反応が気に入ったのか、詠斗は一気に玲奈の細腰を掴み寄せて、性急に太く硬いペニスで最奥の子宮口を貫いた。
「っんな勢いよくしたら壊れるかな…いやでもココは傷ついてないな……イイコだ玲奈。すぐ気持ち良くしてやるからな………っ!」
秘部の中で異物の膨らみが増していく、それに伴い激しさを増す腰の打ち付けに、やがて胎内が熱くなった。詠斗は玲奈の最奥で何も考えなしに、身勝手な欲望を吐き出した。
ぱんっ……どぷどぷっ……
「……っ!」
拷問のような激しい動きは止まった。ゆっくりと内壁にソレを擦り付けるように、ゆるゆると肉棒を引き摺り出している。肉棒が引き抜かれたると、真っ白な布団に大きな染みを作っていた。
口元から離れた手に大きく息を吸い込んだ瞬間、玲奈は力が抜けたようにクタリとすぐに意識を手放した。
それからは嫌々ながらも、詠斗と客といった関係で度々密会するようになった。かなりの稼ぎがあるのか、確かに金払いはいい。
初めは体を重ねるてばかりだったが、次第に友人のような関係ともなっていった。が、ある晩千夏は話を切り出した。かれこれ1年が経ち、これ以上この関係を続けても埒があかないと思ったから。
『詠斗さん、お話があります…。あの森に囲まれたお屋敷や人攫いの組織について、詳しい知人はいないですか?』
「うーん、それなら色んな裏情報を持った人と直接会った方が良いかなー。もちろん安全ルートで斡旋したーげる。」
詠斗は諸事情に詳しい知人を何人か紹介してくれた。しかしほとんどは見返りに体を求めてくる、金を出してまでリピートしてくる男ばかりだった。今の千夏にとっては自分の体を差し出すより、屋敷の関係者や人攫いの方が余程怖かった。金銭にも十分に余裕が出来て、いつか一人暮らしや学校へ通える位の貯蓄も貯まった。
「いや〜詠斗、あんなにも素敵な美少女を紹介してくれて感謝するよ。少ないがこれは謝礼だ。」
詠斗の言いつけ通りに色々な人物と密会する毎日。千夏は情報や金銭、詠斗にも紹介料として何割か徴収していた。本当に詳しい情報もあったが、中にはテキトーな作り話も多かった。
「……詠斗さんも人が悪いですねぇん。」
オネエ口調の岬は、最初から全てお見通しだった。そう、詠斗は商売上手な悪人だった。玲奈はまんまと利用されていた。しかし、詠斗自身も玲奈に大金をつぎ込む程には惚れていた。
次第に玲奈の無邪気な笑顔はなくなって、17歳にして毎日立ち飲み屋に顔を出すようになっていった。詠斗は店内で酔い潰れて寝たままの、玲奈をそっと優しく抱き締めた。
もうすぐ自分の腕の中からすり抜けていく気がして、抱き締められずにはいられなかったーーー。
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