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カウンターからテーブルの女性客の注文をとる真をぼんやり眺めた。






「シンくん、今彼女いないって本当?」

「いないですよ。もうずっと」

「うそー、絶対いるよ。そんなにカッコイイんだもん」

「い・ま・せ・ん」




そう笑顔で返す真。






あれ営業スマイルだわ。



アイツ作り笑いする時左頬がちょっと引きつるんだよね。





………。



早くこっち戻ってきてくれないかな…




まだいっぱい愚痴りたいことがあるのに…







 ・
 ・
 ・








「……ぉ」



……ん…?



「……なお」



…なに…?





「奈央!!!」


「!!!?」





耳元でいきなり怒鳴られて私は伏せていた顔を思い切り上げた。


な、何!!!?







「ボケたツラしてんじゃねぇよ」

「…へ?」

「顔、跡ついてる」

「あと?」

「顔伏せて寝てたせいで手の跡が赤くついてんだよ」

「え!!?あたし寝てたの!!!?」




自分が寝ていたことに全く気付かなかった。







「もう4時。さっき店閉めたとこ」

「うそ!!!」




店を見渡すと客が誰一人いない。





「奈央ちゃん、今日も閉店までいちゃったね」


そう笑いながらレジのお金を数えるマスター。




あぁ…私ってば大学時代から本当成長しないな…。







「あ、そ、そうだ!!あたしお金まだ支払ってない」

「あぁ、真が立て替えてくれたからいいよ」

「え!!?」





マスターにそう言われて真を見ると「なんだよ。いつものことだろ」と、呆れた表情で言ってきた。






「お前さ、いくら俺に借金してるか知ってるか?」

「借金ってか奢りでしょ。ご馳走様」

「おいっ」




ベシッと軽くド突かれた。



真ってこうゆうとこ面倒見いいよね。

彼女のことも大切にしそうなのに。






「なんだよ」

「別に」




ジッと視線を送る私に首を傾けながら真は洗い物を続けた。





少ししてお金を数え終わったマスターは裏へ行き、店内は私と真だけになった。



真は洗い物を終えてテーブルの方まで行くとまだ帰らずに居座り続ける私にそっと話を始めた。








「奈央の男遍歴ってある意味凄いよな」

「は?」

「今までお前と付き合った男何人だよ…みたいな」

「………なんでそうやって古傷をえぐるのアンタは」

「お前に学習能力がないからだろ」





真は店内の椅子を全部テーブルにかけると床をほうきで掃きだした。







「失敗してもすぐに次を見つけるし」

「それって当たり前でしょ。常に恋してたいし」

「なんで」

「なんでって…」





……なんでだろ…


なんで私こんなに恋がしたいんだろう。








「傷ついてばっかのくせに何で懲りないんだよ」

「懲りるとかそうゆう問題?」

「そうだろ。フツーそんだけハズレばっか引いてたら恋なんかしたくなくなるだろ」





真の言うことも一応分かる


けど、


「愛されたいんだもん!!しょうがないじゃなん!!」


そう、しょうがない。

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