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- 番外編A girl's side 3/3
「料理とか、作ってもらうの嫌なタイプ?」
どうしても気になって聞いてみると、予想とは反して仁はあっさりと「全然」と答えた。
あまりにあっけらかんと答えられてしまって、こっちもどう答えていいのか分からなくなり、口を開いたまま呆然としてしまった。
そんな様子を見ても気づいているのか、気づいていないのか、何事も無かったかのようにまたあたしを強く抱きしめた。
「だって、料理作ってる間、触れないだろ?」
「…へ?」
「仕事中、どんだけ我慢したと思ってんだ」
「そ、そんな事言われても…」
「他の男と楽しそうに笑ってるしよ」
「それは、だって、仕事だし」
「わかってるよ、そんなの、でもおもしろくねーだろ」
拗ねたような口調で言う態度に、思わず笑ってしまった。
「笑うな」
「だって、子供みたい」
「悪かったな、我慢が足りなくて」
そして、またキスが降ってくる。
触れるだけのキスも、息が苦しい程の激しいキスも、全部好き。
ドキドキして、胸が苦しくて、嬉しくて泣きそうになる。
「やっと、手に入れたんだ」
「え?」
「七海が欲しくて、たまらなくて、それがやっと叶った」
だから…
そう唇が動いた瞬間、今まで見た事が無い程の眩しい笑顔で、仁は言った。
「七海」
二人の時は、気の済むまでキスをしよう
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