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- 番外編A girl's side 2/3
だけど、そんな自分もいいよね。
「今度は笑うし、本当変なやつ」
「変でいいもん」
「そーですか」
何気ない会話を続けていると、如月の住むマンションの駐車場に着いた。
車を降り、如月の後を追いかける。
2度目の部屋。
だけど彼女として行くのは初めて。
それが優越感で、何だか無性にうきうきした。
「おじゃましま…す」
玄関で靴を脱ぎ、部屋にあがろうとした瞬間、後ろから大きな音を立ててドアが閉まった。
ふと見上げると、前にいた如月が手を伸ばし、あたし越しにドアを閉めたようだ。
少し距離があったはずなのに、すぐ目の前には如月の胸元。
驚いて声をかけようとした瞬間、勢いよく唇をふさがれてしまった。
如月の唇で。
「んっ…、ぇ、な、に…んん!!」
「…ちょっと、黙ってろ」
「な、んで…ぁ…っ…」
聞いても無駄だと言わんばかりに如月の舌があたしの舌に絡まり、息をするのも苦しい程のキスが降りてくる。
「…如月…?」
「お前、いつになったら、名前、呼ぶんだよ」
「え…!…んっ…」
「…仁…だろ?」
「ぁ…ん、…仁…?」
呼吸がうまく出来ないけど、何とか名前を口にすると、ふと唇が離れて、仁が笑った。
「よく出来ました」
そんなに嬉しそうに笑わないでよ。
名前、呼んだだけなのに、そんなにはにかんで…
胸が押しつぶされそうになるよ。
「改めて、おじゃまします」
「ん、そこ座って」
「うん…でも、ご飯どうするの?」
「ピザでいいか?」
「え、いいけど…あたし料理くらい出来るよ?」
「いいから座っとけ」
有無を言わさぬ態度に、結局従う事しか出来ずソファに座っていると、手際良く電話をかけて注文を終わらせた如月…仁はすぐにあたしの隣に腰を落とした。
そしてゆっくりとあたしを抱きしめ、それにこたえるようにあたしも両腕を仁の腰にまわす。
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