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  • 俺を選ぶ、違うか? 1/2

どうしてこんな男を好きだなんて思うんだろう。
顔がいいだけの男よ、それだけ。
時々優しい所を見せるけど、気が付けば憎まれ口に変わってる。
そんな男を好きになるなんて、そんなのどうかしてる。

「何見てんだよ」
「別に、見てませんけど」
「いーや、見てた、絶対見てた」
「何それ、自信過剰じゃない?」

そう、あたし達は相変わらずだった。
あの後、女子社員達の攻撃は少し収まったけど、こいつとのやりとりは相変わらず。
一向に変わらない。
この男はあたしを好きなんだろうか?
あたしはこの男を好きなんだろうか?
そんな思いが永遠にループする気がして気持ち悪かった。
でも思わずにはいられない。
一体、この男は何を考えているのだろう。
気づけばこの男の事ばかり考えている日常。最低だ。

「んで?金曜の夜だってのに、残業?」
「えぇ、予定もないですから」
「ふーん、淋しいやつ」
「淋しくて結構」

腹立つ!だったら「飯でもどう?」なんて誘ってみればいいのに。
そう思ってしまう自分にも腹が立つ!
もう、自分がどうしたいのかも分からなくなってしまった。

「じゃ、飯でも食いにいくか?」

…幻聴が聞こえたのかと思った。
「おい、無視か」
「…え?」
心に思っていた事が現実に起きてしまって、あたしは目を見開いて呆然としていた。
「おーい、行くのか、行かねぇのか?」
「行く!!」
慌てて返事をしまった自分に「しまった」と思ったのはこの直後だった。
「だよな」なんて良いながらにやっと口角を上げて意地悪な顔をしたから。

「…やっぱり行かない」
「お前、一回言った言葉はちゃんと守れ」
「行かないったら行かない」
「お前なぁ」

呆れたような声で言われてしまった。
でも、一回行かないと言ってしまった以上、素直に訂正出来ない自分。
何で素直じゃないんだろう、何でこいつ相手だとむきになってしまうんだろう。
悔しい、ただただ悔しい。

考え込んでいると、突然後ろから課長に声をかけられた。
「相川〜ちょっと話がある」
「あ、はい、今行きます」

離れたデスクに課長の席があり、その近くへと促された私は、課長が座るのを待ち、その目の前で恐縮したまま立ち尽くしていた。
何だろう、ミスでもあったんだろうか。
緊張した面持ちで立っていたせいか、課長がふと笑って、「そんな大した話じゃないから」と言ってくれた。
ほっと胸をなでおろしたその時、意外な言葉をかけられた。

「如月とのペア、うまくいってるか?」
「え?」
「いや、他の社員から、あんまり上手くいってないって聞いてな」
「…そんな」

どういう意味の言葉なんだろうか。
仕事としての業績は悪くないはず。きちんと結果を残しているし、私の仕事もきちんと納期までには送れずに書類を作成している。



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