text


ぼんやり天井を眺めながらベッドに横になる。


如月さんの腕枕はとても心地がいい。


時計は既に3時を回っていた。





「…大丈夫?」

「…何が?」

「身体」

「うん…大丈夫…」




心配そうに私を見つめる如月さんの視線に気付きながらも私の視線は天井のまま。






「後悔してる?」

「…何で?してないよ?」

「ごめん」




謝らないでほしかった


“ごめん”なんて言わないでほしかった



だって私は、こんなに幸せだと思えることを経験できたのだから




でも、私は間違っていた


経験を済ませたくて如月さんを相手に選んだことを。




初めて芽生えた感情


これは間違いなく恋だから



私は如月さんに恋をしてしまった。



抱かれるだけで終わり、なんて無理だと確信してしまった。


この暖かい腕が、今夜限りだなんて、そんなの考えたくなかった。




愚かな私



どうして軽はずみに、どうしてこんなに簡単に寝てしまったのだろう。



どうして、どうして、こんなに離れたくないのだろう。



お兄ちゃんなんかじゃなくて、一人の男性として、


たまらなく愛しい存在になってしまった。








「如月さんこそ…大丈夫だったんですか…?」

「ん?」

「お家…帰らなくて…奥さん心配してるんじゃないですか…?」

「……大丈夫、朝まで飲んでたことにするから」








本当はずっと好きだったのかな?私。


だけど相手は既婚者だし、それで私は自分の想いにセーブをしていたのかな?



今となってはもうどうでもいいことだけど



たくさん飲みに行ったり、相談したり、何でも話せたり、


“初めて”の相手を如月さんに任せたり



やっぱり好きだったのかな?




中学の頃から恋愛に臆病すぎて気付かなかっただけかな?



もう分からない。





「あたし…初めてが如月さんで良かったよ…」

「…俺も…相川の初めての相手になれて良かったよ…」




ずるい人

だけど好きになってしまった






「あたし…、今日、凄く幸せだった…よ」













始発で帰っていく如月さんの背中を眺めながら


本当にこの恋は報われない


そう分かっているのに




それでもいいと、そう思ってしまう




私の初恋






END

[*prev] [next#]

PageTop

.


.





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -