ぼくらはずっと友達さ!
「なぁ白馬・・・リア充っていつ爆発するん?」
「服部ぃ、それ俺と新一の前で言う?」
昼食時、僕らは学校を抜け出し、ファーストフード店にてたむろっている。
探偵の癖に、と思われるかもしれないが、探偵だって人間だし、そもそも職業からして個人情報握ってるんだから割愛してほしい。
そんなこんなで、僕、服部くん、工藤くん、黒羽くんの四人は、いつもこうして昼食を摂っているのだ。
で、なぜ服部くんがこんなことを言い出したかというと。
あえて僕から言わせてもらうとしたら、この一言だろう、服部くんは悪くない。
「なぁ新一ぃ、俺ポテト食いたいー」
「たく、自分でとれよなー・・・・・・はい、あー」
「あーんっ!」
思いっきりハートマークを飛ばし続けてる我が友達は、いま、僕らにとってはただの公害だ。
指に油がつくとシェイクの紙コップを握れないからと、黒羽くんは工藤くんに自分に食べさせろと言い出した。
その時点でぶん殴ってやりたい衝動に駆られていた服部くんだが、ヒートアップした二人(というか主に黒羽くん)に現在爆発寸前だ。
そしてその分で壊した店の修繕費は、全て僕と工藤くんへいくのだろう。
「はぁ・・・」
「イラつくやろ?」
確かにイラつく。僕がこの状態ということは、服部くんはもう限界だろう。
ガタガタと机を揺らしながらも必死に耐えている服部くんに、むしろ僕は愛着すら沸いてくる。
(とにかく、早く二人が服部くんの異変に気づいてくれればいいんだけど・・・)
「なんだよ服部。どうかしたのか?」
図ったようにかかる工藤くんの声。
なんもないわーと不貞腐れる服部くんになにかを感じ取ったらしい。
ああ、と笑うと、ポテトを一本差し出して、言った。
「はい、あーん!」
・・・・・・へいブラザー、いまあったことを冷静に、冷静に話そう。
服部くんの機嫌は急上昇。黒羽くんは反比例して急降下、そして沈没。
俺にも「あーん」は言ってくれなかった!!と嘆く黒羽くん。
たしかに、あーん、ではなく、あー、だったけれど、この際どうでもよくないか?
工藤くんはわけが分からないままにニコニコしている。
白馬食わないのかよー、と、僕にまでポテトを向けてくる始末。
食べないと少しずつ落ち込んでいくので、ありがたくいただく。そのうち僕は黒羽くんに殺されそうだ。
「みんな食べてぇなら言やいいのにー!」
そう笑う工藤くんは、普段見れないほどの上機嫌で。
きっと“江戸川コナン”だったころはみんなと寄り道とか、みんなと買い食いとか出来なかったからだろう。
幸せそうな彼を見ながら、僕は、今日も平和だと思った。
―――
白馬編 完