ぼくらはずっと友達さ!
※新一が戻ってちょっと経ったお話です。
新一と付き合って一週間。
そろそろ次に進みたい、と思うのは、健全な男子高校生の証拠だろう。
キスやその先はおろか、手を繋いだことだってないのだ。
「で、どうすればいいと思う!?」
「俺らに聞かれても・・・・・・」
「はっきり言って、返答に困りますね」
はぁ、と、あきらかに面倒くさそうな顔をして、服部と白馬は溜息をついた。
二人とも、新一の話はまともに聞くくせに、俺の話なんて何処吹く風状態だ。
だーかーらー、と俺は食い下がる。
「俺たち健全な高校生だよ!?恋話(コイバナ)の一つや二つしようよ!!」
「少なくとも俺はこんなむさ苦しい面子でやりたない」
びし、と、服部の冷たい指摘。
俺だって、本当はこんな奴らをかまうよりも、新一といたい。
けれど、男として、このままでは進めないと思うのだ。
新一は、とにかくモテる。
バレンタインになればありえないほどのチョコレートが届き、男子からせがまれる。
隠し撮り写真は飛ぶように売れ、蘭ちゃんたちの懐も潤っている。
おまけに自覚なんてあったもんじゃないから、俺がどんなに頑張っても守りきれないのだ。
「・・・あーあ、新一と手ェ繋ぎてー」
「繋ぎゃいいだろ」
後ろからひょいと出てきたのは、我が愛しの恋人・工藤新一。
びくり、と身体をひくつかせた俺を華麗に無視して(流石新一、そんな姿も美しい!)白馬の隣に座る。
「俺の隣空いてんじゃん!!」
「ばぁろ、俺は白馬がいいんだよ」
白馬鹿めぇ・・・と唸ると、シャーロキアンになったらえぇんとちゃう?って服部にツッコまれた。
悔しいが、俺は怪盗であり、ルパンのほうが好きなのだ。
新一ぃ・・・と情けない声が出る。その様子に、服部と白馬は笑い、新一は呆れ顔をする。
「手、だっけ?」
ん、と差し出された綺麗な手。
ささくれどころか無駄な線の一本もない美しいそれが、いま俺の目の前にある。
「してぇならいやぁい・・・ひぅえぁあ!!」
それを、俺は思いっきり加えてやった。
新一はわけの分からない絶叫をすると、お前にはもう二度と指は出さねぇ、と涙ながらに言った。
―――
快斗編 完