保呂羽様から頂き物 | ナノ

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 憩いの場所
ふらふらばたり。そんな表現が1番適切だろうか。おぼつかない足どりで俺の隣の空席に体ごと倒れ込むやいなや、突っ伏して後頭部だけで挨拶してくるのは元好敵手・現在悪友の工藤新一その人。

3日前の授業中にお馴染みの警視庁から電話がかかってきて颯爽と途中退出したきり、俺の心優しい心配メールも華麗に無視し続けた工藤は完全に弱っているように見える。インナーはその辺で買ったのか初めてみるものを着ていたが、ジャケットは3日前着ていたもののままだし、全体的にヨレヨレという表現がぴったりだ。こんなに家に帰っていないのが明らかな格好のくせに「朝帰りなんだ」という嬉し恥ずかしの甘い背景よりも「警視庁で缶詰になってたからな」という殺伐さが似合う大学生は工藤以外にいないに決まっている。今ニュースでも見ようものなら速報で解決された事件が流れているのだろう。






「連続殺人…ねぇ。」

むくりと起きた瞬間この物騒さである。怪盗なんかより探偵の方がよほど非日常的な生活を送っているのではなかろうか。


「おー、どっかの大馬鹿ヤローが自分の気に食わない人間片っ端から狙ってた事件なんだけどよ。」
「なんだソレ…むなくそわりぃ。」
「そーなんだよ!しかも犯人はわかってるのに中々鬼ごっこが得意みたいで…」


この3日間を思い出しているのか苦々しい顔でそうぼやく。俺も白い衣装を身にまとって工藤と鬼ごっこを散々やらかしてきたが、よくその追求の厳しさやしつこさには震えあがったものだった。3日間も逃げつづけた犯人の逃走法が少し気にならなくもないが、余計な口を挟むとロクなことにならないことは経験上わかっている。こういうときは静かにふんふんと頷いておくに限るのだ。

「よし黒羽。俺を全力で癒せ。」
「は?」
「事件続きで疲れてんだ、いいだろそれくらい。」


少しは友人を労れとジト目を送られている訳だが、俺に一体なにをしろというのか。疲れたなら帰ればいいだろうと言いかけるが、頬を膨らませた姿が容易に想像できるので飲み込む。


「えー…っと、チョコレート食べるか?」
「いらねー。」
「あ、そうですよね。」


俺の優しさが一瞬にして跳ね退けられる。差し出したはいいものの、行きどころのなくなったチョコレートを工藤の代わりに一粒口の中に放り込むと、一気に甘さが広がる。うん、おいしい。この甘さをもってしても工藤は癒されないらしい。なんて難儀な奴なんだ。




「───こっちの方がいい。」


そんな甘ったるいチョコレートなんかよりも、と選ばれたのは俺自身。


やたら横暴な注文だがそこでガバリと抱き着いてくるのはどういうことか。がっしりとホールドされた首が苦しい。それでもヒトサマの首にしがみついて離れない工藤が、甘えるようにすんすんと鼻を鳴らすのを見ていると何も言えなくなる。


「あー…久々の黒羽だ…。という訳で10分後に起こしてくれ。」
「確かに黒羽ですけど!何がどうなって!えっ…もしかして10分間このままでいる気か?」
「うるせー、静かに肩貸せ。これが落ち着く。」

もぞもぞと人の身体で寝心地のいいところを探しているらしい工藤が落ち着いたのは抱き着いたまま肩に頭をもたれさせる態勢で。また大学構内一帯に工藤とデキているとか在らぬ噂が囁かれることを思うと頭が痛くなるような気もするが、この暴走しがちな探偵の憩いの空間を作るべく、今日だけは特別にこの肩の重みも女の子の囁き声も甘んじて受け止めてやることにしよう。


この俺を寝床代わりにした罪は、今度ケーキセットを奢らせるくらいでチャラにしてやってもいい。まああくまでそれは擦り寄るように寄り掛かって静かに寝息を立てる工藤を見守る俺の表情がひどく甘かったという噂が流れているのを知る前までの話だが。





ほろ姉宅でキリ番を踏んだので図々しく紗希が描けないし、ほろ姉の『快→→→←←←新』見たいという理由でリクエストさせていだたきました!!!(…)

まず初っ端の大学生設定とヨレヨレで疲れ切ってる工藤にハートを射抜かれました´///`名字呼びって凄く良いですよね/////まだ付き合っていないのに恋人な雰囲気を醸し出す2人大好きで…!!!すごく可愛くて可愛くて////ナチュラルにホモォしててヤバイ可愛すぎる^^^^紗希には描けない理想の快→→→←←←新でした////

やっぱり文章を書ける人って素敵だなと実感しました。こんなに素敵な文章を頂けるなんてキリ番て素敵…´///`←
本当に本当にありがとうこざいました!!ほろ姉大好きです…!




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