「…やっぱり。ここにいると思いましたよ、柳先生」
「あぁ、みょうじか。…やっぱり?」
「前言ってましたよね。柳先生、うちの卒業生だから図書室が懐かしいって」
「そんな話をしたんだったな、みょうじには。…特にお前くらいの頃にはよく通っていた」
「それ図書室に通えって言ってます?」
「そうだな。もう少し、俺の担当科目に力を入れてもらいたいんだが」
「柳先生に気がいって授業集中できないんですもん」
「ところで何か用か?」
「……。狡いくらいさらっとかわしますよね」
「教師と言う立場があるからな。で、用とは」
「…別にいいですけど。はい、ハッピーバレンタイン」
「図書室は飲食物持ち込み禁止だぞ」
「受け取って下さい」
「…そう言う意味合いの物を、俺は生徒から貰う事を当分禁じられている。変に期待させるなとも言われているからな、今日も全て断った。何一つ受け取っていない」
「だと思いました。先生若くてかっこいいから、何か“間違い”が起きないようにって言われるんですよね。知ってます」
「そうか」
「……」
「…」
「……私ちょっと自惚れてました。結構親密になった自信、あったんですけどね」
「…どう言う意味で言っている」
「“間違い”的な意味ですよ。わかってるくせに。……帰ります」
「証拠が残るのはいけない。だから箱ごと受け取る事は出来ないが、」
「あ…」
「ご馳走様」
「…もう。綺麗事言っといて、何で食べるんですか。……変に期待、しますよ」
「構わない」
「嘘つき。期待させないように断ったって言ったくせに。」
「当たり前だ、不特定多数に期待させてどうする」
期待させるのはお前1人で充分だ。
柳先生とバレンタイン
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短編で書きたかったやつその2。いつかリメイクしてあげたい、柳先生書きたい。