「ここが施設の制御室みたいだね。うーんと、ちょっと待ってて!」


隣にいたパスカルが巨大な装置がある方へと駆けて行く。
先ほどのことがあり、シェリアとソフィの近くには居辛くなっていたので、私も慌ててパスカルを追いかけた。するとヒューバートも一緒に来てくれた。


「う〜んと、これかな?」

パスカルが装置のボタンを押すと同時に、中央にあった巨大な機械が作動し始める。
そして、光を帯びた物体が映し出された。…これが、フォドラの核…。

「エフィネアの星の核とはまったくの別物だな」
「…生きているみたいだ」


するといきなり地響きが起き、装置の上から巨大な魔物が現れた。
魔物が装置の上に着地すると、装置が音を立てて潰れてしまう。…何とかその魔物は倒せたが、これでは情報を集めることが出来ない。


「う〜ん、…あっ、そだ!」

少しだけ頭を抱えていたパスカルは、何かを思いついたのか床に転がっていたヒューマノイドのもとへ行く。
そしてそこから何かを抜き取った。それから先ほどの装置のもとまで戻って行った。


「そのヒューマノイドがどうかしたんですか?」
「機能は停止しても当時の視覚情報が残ってるんじゃないかな〜?」

ヒューマノイドから抜き取った何かを挿し、それから機械を弄り始めるパスカル。
すると、再び映像が映し出された。



『リトルクイーンのサンプル、ありがとうございます』
『それが本当に、対ラムダへの切り札になるのかね?』
『はい。これでプロトス1は完成しますわ』
『だが、焦りは禁物だぞエメロード君。我々は未だにリトルクイーンの存在を掴みかねているのだ』
『このままラムダが生み出した魔物に滅ぼされるのを、所長はお望みなのですか?』
『誰が滅びなど望むものか!だからこうして君を呼び出したのではないか』
『そのご決断には感謝しております』
『リトルクイーンのこと、他言は無用だぞ』
『承知しております。皆の不安を煽るような事を、私がするはずがございません』


パスカルによると、ヒューマノイドの視覚情報のため視点がハッキリと固定されない。
…だけど、時々映る女の子に私は気がついた。…もしかすると、あの子がリトルクイーン…?


『フォドラよ、お前の望みはなんだ?』

研究員らしき男の声が、少女にそう問いかけると、少女は一度だけ視線をこちらに向けた…所で映像が途切れてしまった。


「今のはどういう…」
「ソフィが生まれる前の話だったみたいだね」
「リトルクイーンというのは、核の中にいた女の子のことかしら…?」
「恐らくは間違いないだろう」
「彼女は何者だ…?それに…」
「雰囲気が…どこかソフィに似ていたわね」
「わたし…知らない」
「一体どういう事なの?よく、わからないんだけど」
「リトルクイーンのデータで、プロトス1が完成するとも言っていたな」
「…プロトス1。わたしの、昔の名前……」


ソフィがそう呟いたのとほぼ同時だった。ガクリと、研究所が傾く。
パラパラと上から小さな瓦礫が落ちてきて、ここは危険だと悟る。逃げようとしていたときに、パスカルが他のヒューマノイドからもデータを抜き取る作業を始めた。私もそれを追いかけようとするが、再び襲ってきた地鳴りに足を止める。

すると、眩い光が辺りを包み込む。それが晴れると同時に現れたのは…


「この子、さっきの!?」
「リトル…クイーン…?」


先ほどの映像に映っていた女の子…リトルクイーンは、私たちのほうへ手を向けた。
それと同時に物凄い風が私たちを襲う。

「っ、待って!私たちに戦う気はないの!」


シェリアがそう叫んだが、彼女はこちらの言うことが聞こえていないのか、鈍く光る光線を放った。
それを、アスベルとマリクさんとリチャードが武器で受け止めると同時に、ヒューバートが倒れていたソフィ、シェリア、そして私を庇うように抱きしめた。

だが、攻撃こそ防げたが後ろへ倒れてしまう3人。私は慌ててリチャードに駆け寄った。


「リチャード!」
「名前無事かい?…!?」

リチャードが驚き、上空を見上げる。すると、リトルクイーンが驚いたような表情を見せていた。すぐに表情を戻したが、その視線はソフィのみに注がれている。
そして、ソフィに向かって手を差し出した。


「フォドラの子」
「喋れるのか?」
「おいでなさい」
「気をつけろ、ソフィ」


するとリトルクイーンは上空に手を向ける。それと同時に重たい瓦礫が降り注いできた。


「パスカルさん!」
「あとちょっと〜!よ〜し、おっけ〜!」

パスカルもヒューマノイドから情報を抜き取ったようで、こちらに駆けてきた。
逃げる途中、もう一度リトルクイーンを見ると、彼女の視線はソフィにのみ注がれている。…これが何を意味するのか、私は分からなかった。



20120307




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