「何があったらこうなるんだ?」
「街や他の施設とは明らかに雰囲気が違いますね」

原素研究所は禍々しい空気に包まれた場所だった。空気が重く圧し掛かるようで、気分が悪くなる。
するとパスカルが何かを見つけたみたいで、そちらへ駆けて行く。それを皆で追いかけると、パスカルは機械の前で唸っていた。


「うーん、風化の具合からして数百年以上前にって感じかな?」
「フォドラが滅んだ時期と重なるかもしれないね」
「滅んだ…」


するとソフィが頭を抱え始めた。
咄嗟に支えたシェリアが声をかけると、ソフィが複雑そうに呟いた。


「…やっぱり、わたしの事…呼んでる」
「ソフィにしか聞こえない声がしたのか?」
「早めに中を調べたほうがよさそうだね」

リチャードの言葉に皆が頷き、施設内の探索が始まった。
さすが、フォドラの高度な文明といったところか。複雑な仕掛けを解きながら奥へと進む。劣化しすぎて毒ガスが吹き出ていた場所もあったが、パスカルの知恵や地元民…というたとえは少々おかしいが、サイの知恵を借りながら進んでいった先に、研究室があった。パスカルが機械を作動させると、テロスアステュのようにスクリーンに映像が映し出された。


『フォドラの核に変化の兆しあり。詳細は未だに不明。調査員の派遣が決まった。早急の解明が待たれる』

『コーネル博士の見解を求めたが、返事はきていない。ラムダの研究成果が何かしらの謎解明に繋がると踏んでいるのだが。エメロードくんへの協力要請を出すことになった。真相の究明に繋がることを期待している』

『リトルクイーンの誕生。我々はあれとどのように向き合えばいいのか。派遣した調査隊の第一次隊は全滅したが…第二次隊の若干名の生き残りが、サンプルを持ち帰ることに成功した。しかし生き残った者たちも状態が芳しくない。恐らく長くは持つまい…。彼らの犠牲を無駄にしないためにも…サンプルの詳しい調査を進めねば…』



これは、何かしらの研究だろうか。4回に分けて映像が途切れたが、それに時間の経過が見れた。
それよりも、よく知った名前が出てきたことに少しだけ驚く。


「ラムダにエメロード。これは意外な名前が登場しましたね」
「それに、リトルクイーンか」
「一体なんの事を指しているんだろうね」
「…?アスベル、どうしたの?目が…」
「俺なら大丈夫だ。ソフィこそ、なんともないか?」
「うん、平気。少し変な感じはするけど。……なんだろうこれ。懐かしいような…、でも、わからない」
「…研究施設は、この奥まで続いているようだな」
「もう少し、調べてみよう」


機械の右奥に扉があったので、とりあえず奥に進むことになった。
歩いていると、隣にいたシェリアが溜息を洩らす。


「やっぱり私、ここの雰囲気好きになれないわ」
「好きになれない…?それじゃあ、シェリアは何が好き?」
「やっぱりラントかしら。裏山の花畑も」
「アスベルは?アスベルのことは好き?」
「アスベル…?えっと…今ってそういう好きって話じゃないわよね?」
「わたしは、アスベル好きだよ?」
「ソフィも?…えっと、じゃあ…私も……って、何だか恥ずかしくなってきたわね…。そ、そうだ名前っ!あなたは誰が好き?」
「…え?」
「ずっと聞きたかったのに、いつもはぐらかされてたじゃない。いい加減に聞いちゃおうかなって思って!あ、勿論異性でよ?」
「……」
「照れなくて良いのよ!ヒューバート?それともリチャード?」
「………今そんな話してる場合じゃないと思うんだけど」
「え…?」
「……、…ごめんシェリア、ソフィ。私、ちょっとパスカルに用事があるから」
「ちょ、ちょっと名前…?」


ああ、最悪だ。シェリアとソフィに当たってしまうなんて…本当に最低だ。
パスカルの隣に行くと、パスカルにも元気ないね〜どうしたの?と言われてしまった。

本当に駄目だなぁ、私。




20120306



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