小学校卒業の日…

私たち三人は雷門中学へ行くことが決まっていたので、離れ離れになることはないのだけれど。
でも何故だか悲しくてたまらない。
6年間通ってきたこの校舎、校庭に咲いている花々。噴水に自然広場…それにサッカーゴール。
これからこの場所に毎日通えなくなるからかな?


「どうしたんだ?名前」

染岡が卒業証書が入った茶色い筒を右手で持ち、それを右肩に置いた態勢…う〜ん、何ていえばいいのかな。まぁそんな感じの態勢で私を呼んだ。
その横には半田もいた。彼も染岡と同じように茶色い筒を持っていた。

「なんだか寂しいの」
「そっか…」

半田が私の隣にやってきて、優しく頭を撫でてくれた。
染岡も同じように半田とは違う隣にやってきて、半田と同じように頭を撫でてくれる。少し乱暴だった。

「明日、クラブのガキ共ともお別れだしな」
「あー…そっか、明日だっけ」

そう。明日でサッカークラブも引退だ。6年生は私たち3人しかいなかったため、中心に立って活動していた。
私や半田も慕われていたけど、特に面倒見のいい染岡に小さい子たちはみんな懐いていた。

寂しいなぁ。中学校は忙しいらしいから、クラブの子たちと簡単には会えないだろうし、小学校のサッカーゴールにボールを蹴ることも無くなるだろう。
6年間毎日やっていたサッカー。場所が変わるというだけで、こんなに不安で悲しい気持ちになるなんて。

「あー、もう。ンなお前らしくない顔すんな」

再び、ガシガシと染岡に頭を撫でられる。髪がぐちゃぐちゃになった気がする。

「いいか?俺らが居るじゃねぇか!何も変わらねぇよ」
「そうそう。これからもずっと一緒にサッカーやろうな」

半田がにこにこしながら私に笑いかける。


そうか…、何も恐れることなんてないんだ。
環境が変わるのは、怖いことだって最初は思ってしまう。でも違うんだ。
新しい環境には不安だってある、でも…不安だけじゃない。新しい出会いだって、楽しい出来事だって待っているかもしれない。
新しい環境も、昔からの環境も…どちらも大切にしていけばいいんだね。

私は染岡と半田の手を握り、二人に向かって微笑んだ。


「これからもずっとよろしくね!」







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