半田真一は、小学校6年間でかなり変わった気がする。
何がって、色々。身長も性格も。

低学年のときは、染岡の後に続いてちょこちょこと着いてきて、とても可愛らしかった。一人称も「僕」で、ちょっぴり泣き虫だった。
だけど、3・4年生で私たち二人と離れてから、半田は変わった。
しっかりしてきたし、泣き虫じゃなくなった。昔は弟みたいだったのに、今では頼れるお兄さんになった。
多分、周りにいる人が変わったというのが大きな理由だと思う。

半田が最も仲がいいのは染岡と私。だけどクラスが離れたから、私たち以外の友達ができた。
多分そのグループの中で揉まれて揉まれて強くなったのだろう。
だけど、半田は変わってないところもある。…優しいところだ。


「おい、名前…また転んだのか?」
「え?あ…うん。なんで分かったの」
「何で分かったのって…、膝すりむいてるぞ?気づかなかったのか?」
「あら」
「…はぁ、ほら保健室行くぞ?」

そう言うと半田は私に背中に乗れと促した。
だけど、いつも私が抱きついては支えきれなくて転倒する半田。迷惑かけちゃいけないし、自分で歩いていくよ。
そういうと、半田はいいから乗れよ!と言った。こんなに言ってくれるんだから、お言葉に甘えるとするか。

彼の背中に乗ると、ふらふらしながらも私をおぶって立ち上がった。


「大丈夫?」
「あ、あぁ…大丈夫」
「降ろしてくれて大丈夫だよ。歩けるし…」
「駄目だ!俺が連れて行く!」
「そう、なの?」
「あぁ!そうなんだ」

半田は私にとても優しいんだ。何で優しいのって聞いたら、ほっとけないからって言われた。
染岡になんでほっとけないの?って聞いたら、お前が危なっかしいからだって言われた。私ってそんなに危なっかしいかな?


「ほら、着いたぞ…って、先生いないし…」
「あー…いない」
「…水道で土流してこいよ」
「半田?」
「俺が手当てするからさ」
「うん」

半田に言われた通り、蛇口をひねって水を少しだけ出す。なんで少しだけかって言うと、一度に大量の水を傷口に当てたら痛いからだ。因みに経験談だ。
近くにあったタオルで拭こうとしたら、慌てて半田が駆け寄ってくる。

「おいおいおい!そんな誰が使ったか分からないようなタオルで拭くな!」
「…駄目?」
「駄目に決まってるだろ?これは汚いタオルだから、拭いたらばい菌がつくかもしれないだろ?」
「ばいきん…マン?」
「あぁ、バイキンマンがやってくるぞ。ほら、綺麗なタオル」
「ありがと」

半田から渡された綺麗なタオルで傷口付近を優しく拭うと、手を引かれベッドの上に座らされた。
足を差し出すと消毒が開始された。

「痛まないか?」
「う、ん…大丈夫」
「…本当か?」
「実を言うと少しだけ痛い。けど我慢できるよ」
「偉いな。…ほら、終わったぞ」

半田の治療はとても丁寧だった。昔染岡にやってもらったことがあったけど、雑だったのを覚えている。
この二人は、サッカーだとちょっと熱くなるところとか友達思いなところとかよく似ているけど、でも違うところもいっぱいあるんだ。
だから二人は6年間仲良しでいられたし、私も二人とここまでやってこれたのかもしれない。


半田が私に優しくしてくれるように、私も半田に優しくしようと思う。もちろん染岡にもね。

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