「ぐだらー」

誰が呼び始めたのかも分からない、不思議なあだ名。
意味は勿論ある。私がぐだぐだして動かなくて、いつ見ても寝ているからだそうだ。



私がよく寝るのは昔からのことで。

別に病気とかそういうのではない。ただ本能のままに生きているだけなのだ。
あ、でもいつも寝ているんじゃないよ。
サッカーとかしてると楽しいし、友達といるのも楽しいです。したいことを好きなときにやるのです。

特にサッカーは、ちょっぴり飽き症な私が唯一ずっと続けてきていたスポーツだ。
このスポーツをするようになったのは、小さい頃からずっと面倒を見てくれていた大切な幼馴染たちの影響なんだけどね。







「おまえいつもねてるよな」


入学して5日目。
周りのみんなも徐々に友達を作っていき、元気に外で遊びまわる。休み時間の教室はすぐに空っぽになるのだが。

窓際の一番後ろの席のピンク色の服を着た女の子。
勉強中も、先生がお話しているときも、休憩時間も。ずっとずっと机で寝ているのだ。

学校楽しくないのかな?
隣にいた半田(入学して席が隣だったから仲良くなったんだ)が俺に聞いてくる。

俺は首をかしげた。学校は楽しいもんだろ?サッカーだって、休憩時間にみんなで一緒にできるし、勉強はわかんねぇけど、友達だっている。先生も優しい。

俺はよく理解ができなかった。なんでいつも一人で寝てるんだろう。


俺は直接、あの女の子に聞いてみることにしたんだ。
すると、女の子はむくりと起き上がりこう言った。


「ねむたいから、ねる」


まぁ、確かにそうだ。
だが隣の半田はわけが分からないというふうに顔をしかめた。


「ひとりでさみしくないの?」
「だってねむたいんだもん」
「ともだちはいるのか?」
「いないよ」


そりゃあ、そうだろう。
俺の記憶が正しければ、この女の子はずっと寝ていた。
友達がいないのは本当なのだろう。でも、それはかわいそうだと思った。


「じゃあおれとともだちになろうぜ!」
「いいの?」
「ぼ、ぼくも!ぼくも!」
「わかった」

女の子は落ち着いていた。なんだか年が上のお姉さんみたいだな、って思った。


「おれ、そめおかりゅうご!」
「ぼ、ぼくははんだしんいちっ!」
「そめおかにはんだ」
「ああ。おまえは?」


俺がそう聞くと、女の子ははじめて笑顔を見せた。それから、透き通った声で自分の名前を口にした。





「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -