月曜日。朝練を終えた後、私は一人職員室へ向かっていた。今日は日直なんだよね。それで、金曜日の放課後に先生が「月曜日に重要なプリントを配るから日直のやつは朝、職員室まで取りに来てくれ」って言ってたらしく、それを今日学校行く前に染岡に聞いて、練習が終わった後に向かっているというわけですよ。めんどう。
半田に着いて行ってやろうか?と言われたけど、朝練して疲れているだろうから断った。

のろのろと歩いて職員室まで歩いていき、担任の山田先生が座っているところまでのろのろと歩いた。のろのろと。
すると山田先生が驚いたように私に近寄ってくる。

「苗字?ど、どうしたんだ?お前が起きているなんて…、何かあったのか?」
「プリント」
「あ、ああ…今日の日直はお前だったんだな、少し待ってろ、今取ってくるからな」
「はい」

山田先生はコピー機の前からプリントの束を、自分の机の上から沢山のノートを持ってきた。え…?

「ついでに授業用のノートも持っていってほしいんだが…、さすがに女子にこの量は多いか?」
「いける」
「そうかそうか。じゃあよろしく頼んだぞ?」
「はい」

山田先生の手からノートとプリントを受け取る。…ずっしりときた。だけど私は運動部だからきっと平気さ。
職員室の扉を開こうとしたが、両手が塞がっていて開けない。困ったなあ。すると山田先生がやってきて、扉を開けてくれた。

「本当に大丈夫か?」
「…」
「?おっ、豪炎寺!ちょうどいいところに!」

山田先生が誰かを手招きする。見ると、ツリ目の男の子がいた。ごうえんじと呼ばれた彼は、こちらへやってくると、どうかしましたか?と山田先生に聞いた。

「悪いんだが、運ぶのを手伝ってやってくれないか?」
「分かりました」
「それじゃあ頼むぞ?」
「はい」

ごうえんじくんと一緒に職員室を出る。なんだか悪いなあ、知らない人に手伝ってもらっちゃうなんて。やっぱり半田について来てもらえばよかったかも。
少しだけヘコんでいると、持っていたノートをごうえんじくんが持ってくれた。ああ、重い方を持ってもらうなんて…そんな、悪いよ。

「ノート、私が持つよ」
「いや、いい。…教室はどこだ?」
「えーっと…一番端っこ」
「そうか…」
「ごうえんじ、くん?」
「…なんだ?」
「ありがと」
「…気にしなくていい」

ごうえんじくんは一瞬、優しく微笑んだ。優しいな、ごうえんじくん。心の中でもう一度お礼を言って、私たちは教室へ向かった。



「あれ?名前?」

教室がある階まで行くと、誰かに声をかけられた。廊下を歩いていたくーすけだった。

「どうしたの?」
「プリントとノートを運んでるの」
「ああ、今日日直だったよね、そういえば。で、何でノートを豪炎寺が持ってるの?」
「手伝ってもらった」
「そっかー、でも豪炎寺違うクラスだよね。…うーん、じゃあここからは僕が代わるよ」
「…そうか」

ごうえんじくんはくーすけにノートを渡すと、すたすたと歩いていった。あ、待って…

「ごうえんじくん!」
「…何だ」
「ありがとうございました」
「…別にいい」

彼は振り返らず、自分の教室へ入っていった。あ、円堂と秋のクラスだ。…優しかったな、ごうえんじくん。

「豪炎寺のこと気になるの?」
「優しいなって。くーすけはごうえんじくんと知り合い?」
「いや、初対面。何で知ってるかというと、豪炎寺は転校生だから」
「転校生?」
「うん、先週転校してきたんだよ。教室でも結構話題だったはずなんだけど」

やっぱり知らなかったんだねえ、とくーすけ。うん、寝てたから。と返すと君らしいや、と笑ってくれた。すると端っこにある私たちの教室から双葉が飛び出した。

「名前!遅いと思ったら…って、え…ま、マックス?」
「あれ、半田じゃん」

?どういう状況?くーすけを見る半田はどこか焦っているし、くーすけは半田を見た瞬間ニヤニヤと笑い始めた。
二人って仲良かったの?と聞いたら、半田がまあ…一応、と。その反応に首を傾げていると、くーすけが声をあげて笑う。…え?

「あっはは、名前。僕と半田は友達だよ」
「そうだったんだ」
「いや、まあそうだけどさ…」
「何さ半田。言いたいことがあるんだったら言ったらどう?」
「…な、何でもない。というか、二人って仲良かったんだな」
「悪い?」
「いや…わ、悪くないけどさ。知らなかったというか…」
「半田に許可とらなくちゃいけないの?」
「そ、そうは言ってないだろ!」
「喧嘩…?」

少し語気が強くなってきたのが気になって、くーすけの制服を掴むと頭を撫でられる。あれ、ノートは?と思って見ると、何故かくーすけじゃなくて半田がノートを抱えていた。あれ、いつの間に…。

「喧嘩じゃないよ、いつもこんな調子なんだ。僕ら」
「そうなの?」
「あ、ああ…そうそう!なっ、マックス」
「うん。仲良し仲良し」
「そっか」

二人が仲良しで安心した。大好きな二人には、仲良くしてもらいたいし。でも、二人って友達だけど…なんだかよく分からない関係だなー。

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