「ここは…?」
「遠くまで連れてこられたみたいね。…なんだかちょっと寒いもん」
「ここは、グリゴリの隠れ里だ。お前たちはここで過ごす事になる」


グリゴリの里、か。
以前アンジュ姉さんが捕らわれたときに調べた資料の中に、グリゴリの名前があったので、少しだけその存在については知っている。
転生者の力を無効化する力を持つ血を持つ者…。何故そのような能力があるのかは定かではないが…、里というからにはグリゴリがうじゃうじゃいるのだろう。天術が使えなければ逃げ出すことも不可能に近いだろうね。


リカルドさんが去った後、ルカが重たい溜息を漏らした。


「はぁ…、僕らどうなっちゃうのかなぁ」
「あーもうっ信じられない!なによっ、このシケた所は!」
「お、大きな声だね…」
「声もデッカくなるっての!幽閉よ幽閉!こ・ん・な・と・こ・ろ・で!」
「…そうだね」
「サーカスも来ないし、乗馬も出来ないし、パパやママにも会えないのよ!」
「…学校もテストも無いなんて、張り合いが無いよね」
「ちょっと!話聞きなさいよ!楽しいものが無くて寂しいって話してんのよ!」
「え?き、聞いてたけど、話」
「もう…、ルカと話しててもツマンナイ!」
「楽しいじゃない、テスト…」



「何だかルカらしいね…」
「ああ、まあイリアに振り向いてもらいたいんだったら、もう少し話題を考えたほうが良いだろうな」
「あ、あはは…。でも正反対だからこそ二人は仲良しなのかもね」
「仲良いかァ?」
「というより、想いあっているというか」
「ああ、そういう事か。…っても、まだくっ付きそうにないがな」
「あはは…」
「…つーか、…ここで過ごすなんてありえねぇな」
「そう、だね…」
「…名前、心配すんな。…絶対ここから出してやるからな」
「…ふふっ、ありがとう。勿論、皆も一緒にね」
「ああ。…、アレは…」
「リカルド…さん」

スパーダが見る先にいたのはリカルドさんだった。
…前世で兄弟だったガードルさんのために、私たちを引き渡した彼。

前世と繋がりは、重い。私だって身をもって体験した。だからこそ、私は彼を攻める気にはなれなかった。
だがそんな彼にイリアとスパーダが一気に詰め寄る。


「あーら、リカルドさんでございませんこと?ご機嫌いかが?」
「テメェ…逃げなかった事だけは評価しておいてやる。…じゃあ素手ごろがいいか?それとも得物アリでやるか?」
「スパーダ君?暴れては駄目。幽閉じゃ済まなくなっちゃいそうだし。…それで、リカルドさん、何か御用ですか?」
「…お前たちの様子が気になってな」
「…僕らは、この通り元気です。それで、どれぐらいの期間、ここにいないといけないのですか?」
「さあな、一応罪人という扱いだからな。下手すれば一生…となるだろう」
「最悪っ」
「ざけんじゃねーっての!!」
「…少し話をしよう。食事を用意してある」



そう言うとリカルドさんは近くにあった建物の中に入っていった。
みんなは顔を見合わせたが、結局お腹が空いていたのでリカルドさんに着いて行くことに決めたのだった。





20120202




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