「っ!」



俺は何か、得体の知れない恐怖を感じた。
バッと顔をあげて、辺りを見回す。額から、汗がつぅっと流れ落ちたのが分かった。

息が苦しくて、俺は座り込む。



「ど、どうしたの、スパーダ?」
「っ…な、なんか…やべェ…」
「さっきから何かおかしいよ!?休んだほうが…」
「駄目だっ!」
「え…?」


俺は立ち上がり、叫んだ。自分でも、何が起こっているかも分からなくて、だけど…駄目なんだ!このままでは、取り返しのつかないことになる、そう思った。


「早く、行かないと…ヤバい…!」
「スパーダくん、名前を追いかけないといけないのは分かるけど…何をそんなに焦っているの?」
「駄目だ、早く行かないと…取り返しのつかないことになる!」
「取り返しのつかない…?どう言う事だ?」


嫌な予感しかしねえ。…わけわかんねーけど、アイツに…名前に何かあったんじゃねェかって、気がするんだ…。
俺はすぐに駆け出した。アイツに何かあったら、俺は…俺はっ!









俺たちは愛し合っていた。
魂が共鳴して、絡み合い、そして繋がる。


俺たちには、願いがあった。
体を手に入れることだ。


だけど、それは現世では叶わない。では、来世に希望を託そう。
来世で必ずめぐり合えるように祈りながら、毎日毎日過ごした。来世で、「生き物」として出会えたら…

すべてを重ねよう。手も、唇も、身体も…。愛し合う証拠を、形で残したい。俺たち二人の願いだった。







俺は、前世なんかに翻弄されるなんてまっぴらだ。
だけど…俺は、あいつなら…名前となら、一緒にいたいと思う。…他の女とは違うんだ。最初は前世のせいと思っていたけど、違う。俺は、アイツ自身に惹かれた。

だから、アイツを守りたい。…今度こそ俺の手で名前を…!








だけど、俺が見たのは…。




「っ…!」





ハスタに抱えられた、




死んだようにぐったりしている







アイツだった。











「名前っ!!」






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