(少し注意)



「それで、…君たちはどこまで進んでるのかな」


きっかけは、リチャード陛下のこの一言だった。
宿屋の談話室。ちょうど兄さんはおらず、ぼくと教官、それにリチャード陛下だけで世間話をしていた筈だったのだが…。

ぼくと名前の馴れ初めの話から段々展開していき、先ほどの質問を受けた。
ニヤニヤと聞いてくる二人には悪いが、ぼくたちはキス以上のことをしたことがなかった。そのため、二人が期待しているような話題は無い。
それを伝えると、二人は一斉にぼくを非難し始めた。


「一年も付き合っているのに、かい?」
「嘘だろ…?勿体無い!」
「本当に男か?」
「ナイスボディな#名前#に何も感じないのか?」

た、確かに名前はナイスボディだ。この前皆でスパリゾートに行ったときなんて、それは…っ!な、何を考えているんだぼくは!
とにかく…、教官たちの言葉がぼくの心に突き刺さる。

やはり、おかしいのだろうか。
一年以上経っても、何も無い。…もしかしたら、名前を不安にさせているのではないのか?でも、もしそういう行為をするのが嫌だったら?

ぼくだって、彼女と…名前と一線を越えたいと思っている。…でも、彼女に嫌われたくない。どうすれば、どうすれば…。



「とりあえず、行動してみたらいいんじゃないかな?」


そうだ、悩んでいてもしょうがない。…だったら。
ぼくは立ち上がり、談話室を出る。向かうは彼女の泊まっている部屋だ。

コンコンとノックすると、ドアが控えめに開かれる。そして、顔を出したのは#名前#。ドアをノックしたのがぼくだと分かると、嬉しそうに部屋の中に招き入れてくれた。


「何か飲む?」
「いや、今日は遠慮します」
「そっか、じゃあお話しよう。ベッドの上に座って良いよ」
「…っ!」


『ベッドの上』
という単語にさえ反応してしまう。まったく、ぼくは思春期真っ盛りのガキじゃあるまいし…!…と軽く自己嫌悪に陥りながら、彼女のベッドの上に座る。


「でね、今日シェリアが…。…聞いてる?ヒューバート」
「……」
「ヒューバート?…ヒューバート!」
「っ!な、何でしょうか…?」
「…、今日なんだか様子がおかしいよ?何かあった?」
「…」


やはり、駄目だ。「そういう事」ばかり考えてしまって、彼女の話さえ聞くことが出来なくなっている。
不思議そうにぼくを見る彼女の肩に手を置く。そして、一言だけ忠告をした。


「い、嫌だったら…すぐに突き放してください」
「?ヒューバート、何言っ…んっ」


ぼくは彼女を押し倒して、その柔らかそうな唇に吸い付くように己の唇を合わせた。
すぐに舌を侵入させて、絡ませあう。水音と荒い息遣いが部屋に響き渡る。

「ん、ふっ…ぁ」
「…っあ、名前…」


気持ちよすぎて、意識が少しだけとろんとして…。
ぼくは無意識に彼女の首元に吸い付いた。


「ひゃ、あ…ヒュ、…っ」
「名前…」

彼女の首に赤い痕を残し、ぼくの手は段々と下へ…「ちょ、ちょっと待って!」
#名前#の静止の言葉を受け、ぼくは手を止める。…やっぱり、駄目だったか。

彼女の上から退き、部屋を出ようと立ち上がると、彼女は何処へ行くの?と声をかけてきた。
ぼくが疑問符を浮かべていると、彼女は恥ずかしそうにぼくの服の裾を握る。


「あのね、な、なんで…こんなことしたの?」
「何でって…好きだからに、決まってるじゃないですか…」
「…!」
「前から、キス以上のことをしたいって、思っていました。…だから、ぼくは…」
「…いいよ」
「え?」

思わずぼくが聞き返すと、彼女は頬を赤くしながらぼくを見ていた。…可愛い。


「私も、ヒューバートが好きだから。…だから、…続き、して?」
「っ!名前っ!」


ぼくが彼女を再び押し倒し、柔らかい唇にキスを落とした。






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仁美さんのみお持ち帰りokです





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