(病み注意)




彼女を追い詰める。
コツコツと自分の歩く音が廊下に響いた。
どこから間違ったのだろう、とふと疑問に思った。どこから?いつから?
彼女を無理矢理手に入れたいと思ったのは、いつから?

僕は進む、この長い廊下を。


最初はただ好きだという気持ちしかなかった。
でもね、突然なんだ。本当に突然…君を手に入れて、僕だけの人形にしようと思った。
僕を笑うかい?
でもね、元はというと君が悪いんだ。僕を怒らせるから。

君は唯一僕を裏切らなかった。でもね、じゃあなんで僕の傍にいてくれないんだい?
他の男が好きなんだろう?なんで僕じゃだめなんだい?
アスベルか?ヒューバートか?それとも、他に好きな男がいるのかな。

違う?違うことはないよね?だって君は僕の傍にいてくれなかったから。

こんなにも愛しているのに、僕の愛は伝わらないのかな。
悲しいな、なんだか。一人で空回りしてる気分だよ。僕は君をこんなに愛しているというのに、酷い話だ。
ただ僕は君に傍にいてほしいだけなのに…。

あぁ、愛しているよ。愛している。
こんなに僕を狂わせるなんて…。あぁ、名前…愛している、好きだ。
だから僕の物に、僕の人形になっていつまでも僕の傍にいてくれ。


ほら、捕まえた。
なんで逃げようとするんだい?君は僕の物だろう?
ねぇ、そんなに悲しそうにしないでよ。何が欲しいの?言ってみて、なんでもあげるよ。
だから僕の傍から離れないで、好きだから、愛してるから…。

おかしい?
僕がおかしいって?はは、おかしくなんかないさ。変な冗談はよしてくれ。
もう二度と離さないよ、名前。死ぬまで僕の傍にいてほしい。


僕はそう言って震える少女にキスをした。
自分の中にきつく閉じ込める。もう、誰にも渡さない。誰にも触れさせない。
そう思うと、自然と笑みがこぼれた。




(君が欲しい、他の誰でもない君が)




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テーマ「人外ファンタジー」
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