(リチャードが変態/許せる方のみどうぞ)


野営をすることになった、はあ。
いや、まあ野営をすること自体には文句はないけどさ。だけどさ、今回はアイツも一緒に寝るんだよ。あの変態王子…いや今は王か。いや、そんなことはどうでもいい。
今まではまあ色々あってこの変態とは別行動だったからさ、野営をするとき、男はアスベルや他二人だけだった。安心できるメンバーだ。だけど、だけどさ。あの変態王子と一緒に行動するようになって初めての野営。できれば迎えたく無かったよ。今までは宿とかとれて別の部屋で寝てたけどさ(何度か部屋までやってきたことはあったけど)だけど、だけど…

「やあ名前、こんなに近くで眠ることが出来るなんて光栄だよ」
「(ないないないない!マジでないって!)」

寝袋を持ってじりじりとこちらへ近寄ってくるリチャード。かなり怖い。
とりあえずアスベルを盾にして逃げる。よし、これでいい。
私には計画があった。見張り役としてしばらくリチャードから離れるという計画だ。今日もたくさん動いた。だからさすがの変態でも、私の番が終わるまでには疲れて寝ているだろう、と踏んだのだ。
一緒に寝るとなったら、どんなことをしてくるか分からない。これでいいのだ。見張りの時間が終わって、次のヒューバートと交代して、変態からできるだけ離れたところで寝る!それが一番だ。

だけど甘かった。変態はやっぱり変態だった。とてつもない、変態だったのだ。


「ふふっ、やっと二人きりになれたね」
「ぎゃっ!なんでここに…!?寝たんじゃなかったの?」
「そんなに喜んでもらえるなんて、嬉しいなあ」
「喜んでなんかいるか!」
「照れなくてもいいじゃないか」
「話聞け!」
「君の美しい声を、僕が聞き逃すはずが無い!」
「もう黙って!」

木の傍で毛布に包まっていると、リチャードが横に座っていた。いつの間にか、だ。怖すぎる。ホラーだ。

「な、何で寝てないのさ!」
「一秒でも君の傍にいたいからだよ。君がいないのに寝るなんて…僕には出来ない」
「…もういやだ。嫌だからシェリア呼ぶよ。ねえシェリ…むぐっ!」
「そうはさせないよ」

リチャードの手に塞がれる自分の口。少しだけ苦しくて睨むと、リチャードが何故かはあはあ言い出した。何故。

「涙目で口を塞がれてる名前…そそるね」
「ふぐううっ!(やめろ!)」
「ふふっ、可愛い。もっと可愛いところ、見せて?」
「ふあんでふぉんなふぉと…(なんでこんなこと…)」
「ん?それはね」

好きだからだよ

耳元で囁かれる言葉。異性にそんな甘い言葉を耳元で囁かれたら、一発で惚れるだろう。だが今回は相手が相手だ。悪いけど悪寒しかしない。

「名前は僕のこと嫌いなのかい?」
「そ、そんなことはないけど。だって仲間だし…だけど、変なことされるのは嫌だ」
「素直になりなよ、本当は嬉しいんだよね」
「だからそういうところが嫌なんだよっ!」
「もしかして、今流行りのツンデレというやつかな?」
「はあ!?」
「そうなんだね!マリクに聞いたよ!ツンとした態度をとるのは、愛情の裏返しだって!そうか…そんなに君は僕のことを…、嬉しいよ!」
「な、なに勝手に話を進めてるんだよ!」
「好きだよ、名前。だから、いいよね」
「へ?」

その瞬間、私の真上にリチャードがいた。背中は地面とこんにちは。え、え?
両腕はリチャードによって拘束され、身動きが取れない。え…なに、これ。

「いただきます」

リチャードの顔は、今まで見た中で一番輝いていた。できれば、違う形で見たかった。

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