(恋人設定/少し注意)



目が覚めたら、部屋にさんさんと日が差し込んでいた。おかしいな、まだ寒いから朝すぐには日が差さないはずだけど…。生憎時計は持っていないので時間を確かめることが出来ない。仕方ない、隣のベッドで寝ているだろうシェリアを起こすか…。

「ねえシェリア、今なん、じ…って、あれ?いない…」

その隣のソフィのベッドも、シェリアとは反対側のパスカルのベッドももぬけの殻だった。あれ?あれれ?ソフィやシェリアはともかくパスカルまでいないなんて…。え、本当に何時なの?まさかお昼?朝じゃなかったりする?
あれ、あれ、とベッドの上で考えていると、部屋のドアが開いた。シェリアたちかと思って見ると、全く別の人物だった。

「ヒューバート…?」
「おはようございます。いえ、おそようございます…といったところでしょうか」
「お、おはよう。え、今何時?」
「もう昼の12時過ぎていますよ」
「嘘!そんなに私寝てたの?というか…え、みんなどこ行ったの?」
「買い物がてらお昼を食べに行きましたよ」
「ええーそんな!起こしてくれたらよかったのに!」
「何度も起こしましたよ。目を覚まさなかったのはあなたです」
「え、私起きなかったの?」
「ええ。ぐっすり眠っていましたからね」
「というか、なんでヒューバートはここにいるの?」
「あなたを一人にして全員で出かけたら混乱するでしょう。一人ここにいよう…という話になったので、ぼくが残った、というわけです」
「え、なんかごめん」
「いえ。計画通りですから」
「は?どういう…」

私が彼に問いかけようとした瞬間、ヒューバートがベッドの上に乗ってきた。しかも土足で。な、なにさ…!

「ヒュ、ヒューバート?何を…、というか…計画って?」
「…全てが計画通りに進んで良かったです。この展開を待っていました」
「だ、だから計画って何なのさ!て、展開って…」
「すみません名前。実は昨晩のあなたが飲んでいたコーヒーに、睡眠薬を混ぜていました」
「え!?な、なんで…」
「いつもは兄さんやシェリアたちがいるので、二人きりになる機会なんてありませんからね。だったら自分から作ってしまおうかと」
「はあ?」

じりじりと迫ってくるヒューバート。私は逆にヒューバートから逃れようと後ろにずるずると後退する。だけど、当然だがベッドというものはそんなに大きくない。すぐに背中がヘッドボードにこんにちは。それと同時に私の手を拘束するヒューバート。

「あ、あ…ヒューバート…」
「ずっとあなたに触れたかったんです」
「いやだよ、睡眠薬なんて…、」
「あなたは二人きりにはなりたくなかったのですか?」
「え?いや、あの…、なり…たかったけど、でもそれとこれとは…別だよ…だって、ううっ…」

なんだか涙が出てきたよ。悲しいんじゃなくて、なんというか…生理的な涙というか。…うう、なんでこんなことに…!なんて思っていると、ヒューバートがニヤりと笑いながら言った。

「そんなに泣かないでください、理性が保たなくなります」
「…は?」
「…言葉通りですよ。そろそろ観念してください、ぼく無理矢理は嫌なんです」
「睡眠薬まで入れておいて何を…」
「…名前?」
「…ううっ、…す、好きにして!」
「ありがとうございます」

ヒューバートが私をベッドに倒しながら、その細い指で私の頬をゆっくりと撫でる。

「たっぷり愛してあげますからね」
「…ばか」




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