「手をつなぐことは大切だーってアスベル前言ってたよね」
「ああ、言ったな」
「まさかラムダにも言っちゃうなんて思わなかったよ」
「…ラムダにも必要だと思ったんだ。この言葉が」

アスベルはそう言うと私の手を優しく握る。

「手を取り合うことで、こんなにもあたたかくなるんだ。心も、もちろん手も。だからラムダは知るべきなんだ」
「今は一方的に握ってるだけじゃん」
「どちらが先かなんて関係ない…と言ったぞ。それに俺はお前が手を握り返してくれることくらい分かっているからな」
「…はいはい」

なんというか、なんというかなアスベルの発言に少しだけ呆れながら、でも何だか少しだけ嬉しくなり彼の言う通り、その手を握り返した。
その途端、指と指か絡み合い私とアスベルの距離も縮まる。

「ちょっとアスベル、近いんですけど…」
「そうか?」
「…はあ」
「名前、俺はこの先どんなことがあってもこの手を放すことはない。放したいとも思わない」
「…アスベル…お風呂の時とかトイレの時はどうするの?」
「…いや、まあその時は放すけど…というか、それとは少し意味合いが違うと思うのだが…」
「あははごめんごめん、からかっただけだよ」

「とにかく、俺が言いたいのは…」
「分かってるよ。どんなことがあってもお前を守る!でしょ?…ありがと」
「…お前は温かいな」
「体温が?」
「いや…心がだよ。一緒にいるだけで温かくなる」
「そっか…」

私がそう言うと、アスベルがゆっくりとした動作で絡めていた手を放す。

「あれ、放さないんじゃなかったの?」
「…まあ、手を握っていても良かったんだけどな」
「?」
「…お前が俺の傍にいるだけであたたかくなることに気づいたんだ。…もちろん、手を握ることによってより近くに感じることが出来るけどな」

まあ…と言葉を続けたアスベル。続く言葉が予想できなくて、首を傾げているとアスベルの大きな体に包まれる。

「アスベル?」
「全身で感じたほうがいいといえばいいんだけどな」
「…馬鹿」
「ははっ」

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