ぼくと彼女はいわゆる幼馴染という関係である。



名前は昔からとても元気でそれでいて可愛くて、小さい頃は(不本意ながら)ぼくが引っ張られていく形だった。
幼いぼくは、それに満足していたわけではなかったのだが、それでも彼女の隣にいられるのがとても幸せだったのだ。


だが突然の養子の話。彼女に別れを伝えれぬまま7年間を過ごしてきてしまった。
強く生きよう、兄と父を超える強さを求めてひたすら勉学に励んでいるときも、彼女の笑顔が頭の中に浮かんでいた。





そして今、再び彼女と再会し、共に旅をしている最中なのだが。



「ヒューバート!ほら、早く行くよ!」
「ちょ、待ってください!名前!」



彼女とぼくの関係は、幼いころのまま。

ぼくはもう彼女の背丈はゆうに超えているし、声だって低くなった。体だって逞しくなったし、泣き虫もなおった。
なのに、彼女とぼくの関係は7年前と同じ。


当然、この現状に満足できるはずがなかった。



「ヒューバートといると落ち着くなぁ…、昔はずっと一緒だったもんね」
「えぇ…そうですね」
「ヒューバート、なんか元気ない?熱でもあるの?お腹でも痛いの?」


ほら、彼女はまるで目の離せない弟にでも接しているようにぼくへ話しかけてくる。
過去はそうであったかもしれない。…でも、今は違うんだ。



「ヒューバー、…っえ?」


ぼくが急に抱きしめたため、彼女の体は硬直した。そして己の唇を彼女の耳元に寄せる。
すると名前は面白いくらいに反応する。ぼくはにやりと笑った。



「ぼくは、もう子供じゃありませんよ。名前を抱きしめることだって、キスをすることだって、…このまま押し倒してしまうことだってできる」
「お、押し…!?ヒュ、ヒューバート変だよ!」
「なぜですか?」
「だって、ヒューバートがこんなこと言うわけ…」
「それは昔の話でしょう?」



ぼくはそのまま彼女の唇を奪い去った。







(まぁ、これからゆっくり彼女とぼくの関係を変えていきましょう)





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