「この人、何なのさ」
「だから…、さっきからただの友人と言っているでしょう!」
「へぇ、…ヒューバートさんはただの友達にプレゼントをあげるんだ〜」
「っ、だから!」

あー…、こちらシェリア。只今修羅場真っ只中よ。



ユ・リベルテに来た私たちが出会ったのは、ヒューバートの知り合いというマーレンさん。
ヒューバートは彼女に錬磨道具をプレゼントした事があるみたいで、それを知ったヒューバートの幼なじみ(イコール、私とアスベルの幼なじみでもある)兼彼女な名前が大激怒。

マーレンさんの前で喧嘩を始めてしまったのだ。



「あら、ヒューバートにはこんなに可愛い彼女さんがいたのね」


マーレンさんは、事の流れを理解していないのか、ほんわかと笑う。いや、貴女少し黙ってて。
そんなマーレンさんの言葉を聞いた名前の両目に涙が溢れた。

隣にいるアスベルがオロオロし始めた。



「ず、随分余裕ですよね。ま、まぁそうですよね!貴女って、スタイル抜群だし?顔も可愛いし?何も特徴のない私とは、天と地、月とスッポンの差ですもんね!」
「名前!いい加減にしないと、本気で怒りますよ!」

ついにヒューバートが声を荒げると、名前の目からポロポロと我慢していた涙が零れ落ちはじめた。
あらら…



「ううっ、だって…だって…、ヒューバートは私に何もプレゼントしてくれた事、ないんだもん。他の女の子が先なんて、嫌だよっ」


肩を震わせながら泣く名前。さすがに、私もあんまりだと思う。
彼女とヒューバートは幼い頃からお互いが好きで、ヒューバートがストラタへと発った後も一途に彼を思い続けた名前。もちろん、ヒューバートはそれを知っている。

如何なる理由があろうとも、純粋な彼女を傷つけるのは許されないことだ。



「…馬鹿ですね、本当に」
「馬鹿じゃないもん」
「ぼくは、貴女に何かを与えてあげられない分、貴女を愛していたつもりだったんですけどね」
「え…」
「それでも満足できなかったのなら…、いいですよ。…今から何か買いに行きましょう」
「う、ううん!いいの、いいの!そんなに思ってくれてたんだね…、ごめんね」
「こちらこそ、すみません。貴女を不安にさせてしまって…」
「ううん、ヒューバート…大好き」
「ええ、ぼくも…愛しています」


二人の間に漂う、甘い空気。二人の世界が出来上がっていた。…とりあえず私がしないといけないのは…。




「マーレンさん、すみませんでした」




被害者に謝ることだ。







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