テノスの冬は寒くて寒くて。
厚着のルカたちはいいけど、私やエル、イリアは凍てつくようなこの寒さにお手上げ状態だった。
そこで、何だかあったかそうなリカルドさんにエルと共に抱きついてみたが、もの凄い力でスパーダに剥がされた。しかも私のみ。
スパーダに文句を言うと、何故か叩かれた。そして一言…
「お前は駄目だ、お前は」
依怙贔屓だ。
とりあえず、暖房の効いた宿屋のベッドの上でゴロゴロしていら、ノックもせずにスパーダが入ってきた。
まぁ、いつもの事なのでさして気にもしなかった。
だが先ほどのこともあり、私のスパーダへの態度は悪い。
けれど、スパーダはそんな私を無視して、ゴロゴロしている私の隣に座った。
そして何も言わず、赤いリボンが付いた袋を差し出した。
「なんですか、これ」
「開けてみろ」
彼がそう言うので、袋のリボンを解いてみると、淡いグリーンのマフラーが。
彼の髪の色と一緒で、とても綺麗だった。
「これは…?」
「マフラーだよ、わかんねえのかよ」
「分かりますよ。だから、一体何なのさ」
「やるよ」
「え…」
「これやるからさ、リカルドのおっさんに抱きつくな」
「あ」
あぁ、つまり嫉妬ですか。