彼女の腕の中には柔らかい、ぷにぷにとした、それでいて乳臭い物体がいた。
その光景はぼくのキャパシティーを混乱させるのには充分であるのは確かだった。

いやいやまてまて。ありえない。何故、何故彼女が赤ん坊を抱いているというのか。
まさか…名前のこ、子供…?だとすると一体誰との子供なんだ?兄さん、リチャード陛下?…まさかとは思うが、マリクさん?
いやいや、マリクさんとの子供だったら犯罪だろう。いや、でもこの前名前はマリクさん素敵とかそんなことを言っていたような気がしないでもない。

え、じゃあまさか本当にマリクさんとの子供だとでもいうのか?
そこで浮かぶのは嬉しそうな名前とそんな彼女の傍らで笑っているマリクさん。

うわあああああああ。



「ヒューバート?どうしたの…?」
「名前…そ、それは…それは…何ですか?」
「赤ん坊だけど」


いや、そうじゃなくてですね。
それは、誰との子供なのですか?


「え、落ちてたから拾ってきた」
「は…?落ちてた?」


とりあえず彼女の子供ではないのが分かって一安心したのだが、そうも言ってられない。
彼女を叱って、ともに母親探しをしていたら案外すぐに赤ん坊の母親は見つかった。少し目を離した隙に赤ん坊が逃げたしたらしい。
目を離すなと母親を叱り、名前とともに去っていく親子に手を振る。ふう、一安心。ぼくの心も落ち着いてきた。



「ねぇ、ヒューバート。赤ちゃんかわいいね」
「えぇ…そうですね」
「欲しくなっちゃった」
「……」
「ねぇ、ヒューバート」
「……」
「赤ちゃん、作っちゃう?」



ふたたび頭が爆発した。





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