「可愛らしい舌で一体何を舐めているんだい?」
「いちいち変な言い方しないでくださいよ、陛下。アイスキャンディーですよ」
「アイスキャンディー…?」
「ええ、バロニアで今めちゃくちゃ流行ってるんですよ。…まさか知らないんですかー?仮にもこの国の王なのに」
「ぐ…!ぼ、僕だってそれくらいは知っているよ。あ、あのアイスキャンディーだよね!」


リチャードの額から汗が流れる。嘘つきリチャード、もうモロバレ。


「へぇー。…じゃあリチャードのお気に入りの味はなーに?」
「え、え…お、お気に入りの味かい?…あ、えーと…えーと…そ、そうだな。えーと…」
「はい(庶民の味を知らないリチャードはなんて答えるんだろう…ドキドキ)」


リチャードはうーーーんっと効果音が付きそうなくらい悩んで悩んで悩んで、パッと表情を明るくした。

さてさて。何て答えるんだろうか。




「えーっと…、キ、キャビア味…かな。プツプツした歯ごたえがとても美味しいよね!」
「……」
「あ、あと…フォアグラ味とか!美味しいよね!僕、毎日通ってるんだよ。それだけが一日の楽しみというか、まぁそんな感じだよ」
「……」
「え、え…え…あの、えっと…。僕はそれが好きなんだけど…え、えっと……、え、え…えっと…え……」
「……」
「ええっ…あの、…ごめんなさい」
「うん。リチャード…アイスキャンディーの味も知らないなんて…可哀想だね」
「え…え…あ、…ぅっ」
「わ、泣かないでよ。ほら」
「え…?」
「連れてってあげますよ。ほら、だから手を貸してください」
「あ、ありがとう!」


パァっと笑顔になるリチャード様19歳。

とりあえず、彼の食生活が気になる部下のわたくしでありましたとさ。おしまい。







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