ウォールブリッジが通れないなんて聞いてない!畜生、デールめ!(あ、呼び捨てしてしまった)(ま、いいか)
なんか叔父のデールからリチャード王子とやらの護衛に任命されて、バロニアへ向かっていた私なのだが。
ウォールブリッジには怖い顔をしたウィンドル兵たちが。視線だけで殺されそうなほど睨んでくるのだが。なんなんだ、というか何があったんだ。


詳しい事情なんて全く知らない私は、意味も分からず叔父に任命され、顔も知らない王子様とやらの護衛を任され、そして知らない兵士に睨みつけられる。
そしてバロニアへの近道であるウォールブリッジが封鎖されている、だと?(ラント方面から行けばいいのだが、正直そんな面倒な事をしてまで行きたくない)



「(一体私が何をしたっていうんだよ!)」


だいたい少しばかり剣が上手いからって、女に護衛させるか?普通。しかも知らない男の!(相手はこの国の王子なんだけどね、知らないものは知らないわよ)
全く、どうすればいいんだ。急を要するんだろ?下調べくらいしとけよ。グレルサイドを発ってまだ数時間しか経っていないのに、こんなところで立ち往生とはね!



「どうやら無事に対岸へ渡れたようだ」
「これで予定通りグレルサイドへ向かえるね」
「お、グレルサイドへ行くんだ」
「パスカルさん、遺跡の中では色々とお世話になったね。ありがとう」
「あたしも一緒にグレルサイドに行こうかな〜」


なんか急に賑やかになった。というか、対岸に渡れたようだ、ってどういう意味だよ。
茂みに隠れながら(だって怪しい奴だったら嫌じゃん)賑やかご一行様を覗き見する事にした。


「(なんだ、あれ)」


ご一行様はみんなカラフルな頭で、みんな美男美女だった。すごい光景だと思う。街中にいたら絶対に目を引くと思う。
そのご一行の足元には青い円形のもの。…なにさ、あれ。


「よからぬ目的があってついてこようとしているんじゃないだろうな?」
「待ってアスベル、だれか…いる」


紫色のツインテールの女の子が私の潜んでいる茂みを指差すと、アス…なんちゃらと呼ばれた男の人が剣を構える。


「くっ、追っ手か!隠れてないで出て来い!」


なんだ、この展開…


まあ斬りかかってこられても面倒くさいので、私は茂みから出ることにした。


「女の子…?」
「は、はろー」
「何者だ!」
「何者だって言われても…。わたくし、名前はこの近辺に住むものでありましてですね…」
「でもこの辺りは危険なはずだよ、なんで一般人の君が剣を持ってこんなところにいるのかな?」

金髪のイケメンさんが訝しげに私のことを見る。仕方がないので誤解を解くことにした。(機密事項を言うなって?無理無理デール叔父さん。この人たち怖いんだもん)


「というわけでして、その王子さまとやらを探しに出かけているのですよ」
「そうか…。じゃあ僕についてきなよ」
「は?どういう意味ですか金髪さん」
「嬉しいなぁ、こんなに可愛い子が僕を探しに来てくれるなんて…。あ、自己紹介がまだだったね。僕がリチャードだよ」
「え」


金髪さんがリチャード王子という予想外の展開にドキリ。
先ほどの訝しげな表情とはうって変わり。リチャード陛下はにこにこと爽やかに私に微笑みかける。…かっこいい…
また、胸がドキリ。あれ、あれれ?


「これからよろしくね。名前ちゃん」


頭を撫でられ、私の胸がきゅんと締め付けられる。
あれ、これって…




(はじめてなんですけどー!!)(ふふ、面白い子だね。可愛い)(なんなんだ、この子…)


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