満天の空に輝く星たち。それを見上げながらぼくは彼女の手を握り歩いた。
彼女の手のひらのあたたかい温もりに、言葉では言い表せないくらいの幸せが胸の中いっぱいに広がる。
ああ…彼女も自分と同じように幸せだ、と感じてくれているだろうか?
「名前、寒くはないですか?」
『うん。ヒューバートと手を繋いでるから、あったかいよ』
「そう…ですか」
彼女の手をぎゅっと自分の手で包むと、彼女も同じように答えてくれる。
それが、とてもとても嬉しくて。
この時間がもっと続いて欲しい、と願う。
彼女と繋いでいないほうの手をポケットに入れる。…箱の角が指に触れ、少しだけ頬があつくなるを感じた。
『ヒューバート、大好き』
「!そ、そうですか…。ぼ、僕も…ですよ」
ぼくの腕に抱きついてくる名前。可愛すぎます、反則ですよ、それは。
自分の身長よりも大分低い位置にある彼女の頭を撫でると、嬉しそうにぼくに抱きついてくる。
今、ぼくの顔はきっとゆでだこのように真っ赤なのだろう。
照れたら何も言えなくなるぼくのことを、彼女はよく知っている。名前は可愛らしく笑いながら、今度は正面から抱きついてきた。
「っ!」
いまだに、名前の可愛らしい行動に慣れていないせいか、彼女がぼくに触れる度に体が固まってしまう。
そんなぼくのことなんておかまいなしに彼女は突然抱きついたりキスしたりするから、困りものだ。(でも、その行動が嬉しかったりもする。なんという矛盾)
『ヒューバート、こうしたらもっとあったかいね』
「…そうですね」
『ねぇ、何で外に連れてきたの?』
「え…」
もう夜だし、宿屋じゃできないことなんだよね?と聞く彼女。
ぼくはもう一度ポケットに手を入れ、その存在を確かめる。…よし、ありますね。
「えぇ、宿屋では…。少なくとも人目につかない所でやりたい事があったので」
『そっか…』
珍しく、彼女の頬も紅潮していた。その頬に触れると、彼女の体はぴくりと動いた(可愛い…)
『ヒューの手、冷たいよ』
「それはすみません。名前と繋いでいたほうは温かいですけどね」
両方の手で頬を包むと、自然と目を瞑る名前。
ぼくは顔を近づけ、触れるだけのキスをした。
ぼくが離れると、彼女は笑いながらぼくに抱きついた。
『やりたいことって、これ?』
「まぁ…これもやりたかった事でもあるんですが…。本命はこれです」
ぼくはポケットから箱を取り出す。すると彼女の頬は真っ赤になった。
ゆっくりとぼくから離れて、取り出した箱を見る名前。
『これって…』
名前の言葉に、ぼくは箱を開く。きらりと光る指輪。
「指輪です」
『ヒューバート…』
「意味、分かりますよね?」
『…言ってくれなきゃ、わかんないよ』
ぼくから視線を逸らし、恥ずかしそうに呟く名前の耳元に近づき、ぼくは言葉を紡ぐ。
「あなたと一緒にずっといたいんです。あなたと一緒にいて、たくさんの幸せを感じていたいんです。ぼくと…ずっと一緒にいてくれませんか?」
そう言って、彼女に手を差し出す。
すると彼女は嬉しそうにぼくの手の上に、自らの手を置いた。
好きだよ
(そう言って笑う君に、もう一度口付けを)
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