「っ…あ、なたは、…誰?」



私がその言葉を口にしたとき、リチャードの真っ赤な瞳が見開かれた。
しかしそれはすぐに細められて、更にその腕に力が加えられる。



「っ…ぐっ…リ、チャ…」
「……」


だんだん目の前が霞んで、息が苦しくなってくる。朦朧とした意識の中で、私は私の首元にある彼の手に自分の手を重ねた。
そして、ぎゅっと上から握り締める。その途端、私を淡い光が包んだ。



「くっ!な、んだ…この光はっ!」



咄嗟にリチャードは私の首から手を離し、距離をとる。彼の身体は小刻みに震え、ついには膝をついてしまった。
私は息を整えて、自分の体を見る。…あの時と一緒のだ。海で、赤い光の魔物と戦ったときに私の身体を纏ったあの光だ。…でも、なんで…。




「っああああっ!」
「!」



膝をついたリチャードが、苦しそうに呻き始めたので、私は急いで彼に駆け寄る。すると、もっと大きな声をあげて今度は地面に伏してしまった。
…もしかして、この光が弱点だったりする?

恐る恐る彼の肩に手を触れると、リチャードはゆっくりと顔をあげた。



「……………」


彼は私をじっと見つめたまま動かない。名前を呼んでみるが、反応はない。




数秒間の沈黙。しばらくすると、私の身体からスゥっと光が引いていった。…これはまずいかもしれない。この光のおかげで、リチャードの中にいる何者かが怯んだのだ。
この光がなくなってしまったら…リチャードの精神はまた乗っ取られてしまって、また先ほどのように…!

だが彼の身体は私に向かってくるのではなく、そのままゆっくりと地面に倒れてしまった。




「え…、リチャード…?」


慌てて彼の呼吸を確認すると…。…良かった、ちゃんと息してた。
…とりあえず…彼が気を失っている今、これからどうするのかをきちんと考えておかないといけない。



私は倒れているリチャードの隣に座り、彼の綺麗な金髪を掬った。









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