ソフィの頭の上に、雪が乗っていた。
「雪、乗ってる」
「雪…?」
「うん、そうだよ。雪」
私が掬った雪は、手のひらの上で溶けて無くなる。
「雪…溶けちゃった」
「そうだね。溶けちゃった」
空を見上げると、どんより曇り空。
遠くの山は、白くて…
あぁ、リチャードもここにいるのかな…なんて。
はぁ。
吐く息も白くて、なんだかおかしな気分だ。
「息、白い」
「寒いからね」
「寒いの、苦手?」
「ちょっとだけ」
右手に温かいものが触れる。ソフィの手だ。
「温かい?」
「…うん、温かいよ」
目を瞑って、私は彼女の手を握り返した。