大統領の許可を得て、大輝石を調べさせてもらえることになった。
私たちはストラタ西の砂漠ひたすら歩いていた。
さすが、人を近づけさせないようにしているだけはある。…とにかく道のりが長かった。

「あっついよ〜」
「はぁはぁ…汗も出ない」
「アスベル、大丈夫?脱水症状じゃないかしら?」
「大丈夫?これあげようか?」

私はさっき宿屋で買ったジュースをアスベルに渡す。

「つ、冷たっ…なんだ、これ」
「さっき宿屋で買った。えーっと…グミアイス…いや、アイスグミジュースだったっけ」
「美味しいのか…?」
「知らない」
「ははは、遠慮しておく」

アスベルから返されたジュース。私は仕方なくその蓋を取り飲んでみる。
こ、これは…!


「名前、どんな味?」
「うん…まぁこんなもんか。ソフィも飲んでみる?」
「うん。…ごくっ、ごくっ…あっ」
「ど、どうした?ソフィ!」
「ね。こんなもんか、でしょ?」
「うん…もういらない」
「(ど、どんな味だったんだ…)」

うん、もう買わない事にしよう。そう思うくらい不思議な味だった…。






「ここがストラタの大輝石がある遺跡か…」
「何者だ?ここは関係者以外立ち入り禁止だ」
「大統領閣下から大輝石の調査を命じられて参りました」

アスベルが許可証を見せると、ストラタ兵の人はそれを受け取り隅々まで見る。

「失礼いたしました。どうぞ、お通り下さい。大輝石があるのは、この遺跡の一番奥となります」
「よし、行こう」

アスベルに続き、私たちは遺跡の中へと足を踏み入れた。


「遺跡に入ったら、少し涼しい気がしないか?」
「大輝石から一部漏れ出した水の元素が周辺に在るからじゃないかな?」
「大丈夫なの、パスカル?砂漠では暑くてろくに喋らなかったのに」
「大輝石に近づいてきたから元気が出てきたよ〜。水の元素のおかげかな〜?さ、張り切って行こう〜!」

パスカルが笑顔で言う。なんにせよ、元気になってよかった。
すると、マリクさんがソフィに近寄る。

「ソフィ、きっとパスカルは魚類だ」
「お魚さん?」
「ぶっ!」
「…あの、教官。嘘教えないで頂けますか?」
「エラ呼吸だ。今度探してみろ」
「教官!」
「あははははっ!」

ソフィは目を見開いて前方にいるパスカルを見る。そんな彼女の手を引いて、シェリアは怒ったように奥へ進んでいった。
私とマリクさんは笑いながらそれについていった。





遺跡の中を進んだ先に、大輝石があった。形はウィンドルのものとほぼ同じ。だが色も違うし、纏っている雰囲気もウィンドルのとは全然違った。


「ラントは、大丈夫だろうか…」
「きっとヒューバートが上手くやってくれているわ」
「それは心配ないんだが、問題は…」

アスベルは私の方をチラリと見た。そして言いにくそうに口を閉じる。
するとソフィがアスベルに聞く。

「…リチャード?」
「あぁ。あいつがまたラントに現れていないかが心配だ。この前はソフィのおかげでどうにかなったが…」
「リチャード、どうしたのかな?もう…友達じゃないのかな?」
「っ!私、先行くね」
「名前!」

それ以上、聞きたくなかった。
私を呼ぶアスベルの声を無視して、先へ進んだ。


リチャードは、友達だ。それは今も昔も変わらない。

何があっても…ずっと友達でいよう。
そう約束した。…彼には何度も助けられた。だから、私は…彼を守りたかった。







近くで見上げた大蒼海石は、それはとても綺麗で…。青い光、紫色の光が大輝石の中をキラキラと渦巻いていた。

「すご〜い!これがストラタの大輝石、大蒼海石なんだね。初めて見たよ!でも、ちょっとくすんでるね」
「え…?」

パスカルの言葉に、もう一度大蒼海石を見る。
確かに…ウィンドルの大輝石ほど光っていない気がする…。

すると研究員の人が(あの眼鏡の男の人だ…)近づいてきた。


「大統領閣下の許可を得て、調査にやってきました。大輝石を拝見してよろしいでしょうか?」
「大統領の許可があるならかまいません。どうぞ」

既に大輝石の近くにいたパスカルに近づくと、彼女は真下にある装置をじっと見つめていた。


「あ〜なるほどなるほど。こうなってるのか〜。見るからに壊れてる所があるからここが変に干渉してるんじゃないかな〜。だったらこれを!」

パスカルはどこから取り出したのか、大きなドリルを装置に押し付けた。

「グルグルってやって〜最後にガッとね!」

ドリルをおさめ、今度は大きなハンマーを装置に叩き付ける…。ご、豪快…
するとどうだろう、大輝石が光りはじめた。突然のことに研究者の人は呆然としている。


「こ、これは…」
「適当にいじっただけなんだけど、結果オーライみたいだね」
「あ…あなたたちは一体…」

研究者の人が呟いた瞬間、物凄い轟音が辺りに響き渡った。



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