目を覚ます。



少しだけ揺れている感覚、見慣れた風景。
ここは…




「名前!起きたか、よかった…」
「おとう、さん…?」



そうだ、ここは自室だ。
揺れていると言う事は、船の上なのだろうか。



あの時、私は魔物の攻撃を受けて意識を失った…。
…そうだ!



「みんなは?みんなはどうしたの?」


私が聞くと、お父さんは悲しそうな顔をして目を伏せた。



「ソフィさんが、亡くなったんだ…」
「!!」
「その他の子たちはみんな命に別状はない、だけど…彼女は、どこにもいなくて…。きっと魔物に、…」
「うそ、ソフィ、ソフィが…」




絶望した。

花が好き、といったあの少女。
記憶喪失で、過去の事やこの世界の事を何も知らない純粋無垢な少女。

わたし達を守ろうとしてくれた少女…





涙が止まらない。
とめどなく流れ落ちてくる






「うっ、うっ…っ…うわああぁぁっ!」
「名前…」



お父さんが私を抱きしめる。
私はお父さんに抱きついて、大声で泣いた。










考えられなかった。

友だちが死んでしまうなんて。



当たり前のようにみんなで笑って過ごしたこの数日間。
それは私にとってとても大切な宝物だった。





それが、音を立てて壊れていった





涙が止まらない、私は…私はこれから…







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