星の核から戻った私たち。とりあえずラントに戻ることになった。
もう時間も遅いからアスベルの家に泊まることになって、明日…悲しいけどみんなとの旅は終わりだ。
部屋でくつろいでいるとドアがノックされた。顔を出したのはリチャードだった。

「名前、少し話があるんだけど…時間あるかな」
「うん…大丈夫だよ」
「…ありがとう」

そういうとドアを閉じてこちらへと向かってきた。私はベッドから降りて、小さな椅子に座る。リチャードもその近くにあった椅子に座った。

「それで、話って?」
「君とヒューバートは、付き合っているのかい?」
「え…、う、うん…」
「…そう」
「え、えーっと…あの、リチャード?」
「ふふっ、ごめんね。うん、これでやっと決心がついたよ」
「…?」
「ねえ、約束…覚えてる?」
「帽子の、だよね」
「うん」

リチャードはそう言うと少しだけ悲しそうに笑って、続けた。

「好きだ」
「…え」
「約束の答え。君が好きだ、ずっと昔から」
「リチャード、…私…」
「わかってる。だけど、伝えるだけ伝えたかった。約束、したからね」
「…ありがとう」
「ううん。それに、あきらめたわけじゃないよ」
「え?」
「ヒューバートが君の事を幸せに出来なかったら、僕も遠慮なくいかせてもらうから」
「そこまでですよ、リチャード陛下」

ドアが開いたと同時に顔を出したのはヒューバート。もしかして、リチャードとの話聞かれてた…?
少しだけ焦っていると、リチャードは優しく笑って私の頭を撫でる。そして立ち上がってドアの前に立つヒューバートに耳打ちすると部屋を後にした。
何を言われたのか分からなかったけど、ヒューバートはリチャードに耳打ちされた瞬間真っ赤になっていた。

「まったく…!」
「ヒューバート…?」
「貴女も貴女です!部屋に男をあげるなんて…、危機感というものを覚えなさい!」
「ご、ごめん…」
「…まったく、ぼくもこんなことを言いにきたのではないのに…」

ヒューバートは先ほどまでリチャードが座っていた椅子に腰掛けると、足を組んだ。

「名前」
「なに?」
「明日、ぼくはストラタへ戻ります」
「…そう」
「一緒に、行きませんか?」
「え…」
「行くところも、ないでしょう。貴女を養えるだけのお金もあります、…ですから…」
「本当に、いいの?」
「…ぼくが良いと言っているんです。…いいに決まっているでしょう」
「ヒューバートっ!」

私は立ち上がり、ヒューバートに抱きつく。するとヒューバートは驚いた表情をしたが、すぐに優しく笑ってくれた。

「いきなり抱きつかないでください」
「でも…嬉しくて」
「…ぼくも、嬉しいです。これからは、ずっと一緒ですよ」
「…うん!…でさ、さっきリチャードになんて言われたの?」
「そ、それは…」
「それは?」
「秘密です!」
「ええーっ」


『君が幸せにしてあげて』


この言葉は、ヒューバートの心に響いた。


「あなたに言われなくても…」
「?何か言った?」
「いいえ、何も言ってませんよ。…それより名前」
「何?」
「…何があっても、ぼくはあなたを守り、支えます。これからも、ずっと」
「…うんっ!」

お互いの指を絡めて、二人はそっと寄り添いあった。











fin


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