「こ、こんな水着絶対に嫌だって!絶対嫌、嫌すぎる!」
「大丈夫!名前はスタイル良いんだから、これくらいセクシーじゃないと!」
「スタイル良くないし!普通のワンピース型のやつがいい!ほら例えばこの水色のとか…」
「それ可愛い!これは私が着るわ」
「そんなぁ…!」
「いいじゃない、名前!絶対これ着たらモテモテだよ!」
「モテなくてもいい!というか、水着だけでモテたらみんな苦労しないって!」



先ほどから私に押し付けられてるのは、やたらと面積の狭い黒のビキニ。
銀色の糸で刺繍がしてあって、とても可愛らしいけど…まだ私には早い気がする。



「もう、早く着てよ!遊ぶ時間が減っちゃうわよ!」
「じゃあほかの水着を着るよ!」
「それは駄目!」
「あーもう!シェリアは私に何を求めているんだ!」
「まぁまぁ、二人とも。喧嘩しない!ねね、名前。ちょっと見てよ」
「え…って…」


そこには、大きな鈴をつけてツインテールをお団子にして…なんと尻尾までつけたソフィだった。
可愛い…とても可愛い。


「ほら、ソフィ」
「名前…、その水着着て?にゃん?」











「……みんなで遊んできてよ。私は更衣室にいるだけでいいから」
「もう!早く行くわよ!」
「嫌だー…絶対に馬鹿にされるよ」
「コポー!」


パスカルとシェリアに引きずられながら私たちは更衣室を後にする。
ドアを開くと、眩しい光が差し込んだ。

それと共に見えたのは、……うん。
とりあえずいたのは、ヒューバートと…マ、マリク…さん。


「ど、どう?似合ってる?」

シェリアが、恥ずかしそうにモジモジと体をくねらせながら訊く。
その姿がとても様になっていて、改めて彼女はとても可愛いのだと思いながらパスカルの後ろに隠れるわたくしでございますよ。


「普段の格好を考えればそこまで恥ずかしがる事なのでしょうか?」
「もう〜、そういう問題じゃないでしょ。それに普段の格好に問題あるみたいじゃない!?」

短いスカートを普段からヒューバートに注意されているシェリア。だからこそヒューバートには彼女の露出度は気にならないのだろう。
だけどね、ヒューバート。私服と水着はね…かなり違うんですよ!


「コポーコポーコポーコポー」
「なんだ、パスカル?どうしてオレが変な格好をしているか、だと?その言葉、そっくりそのまま返してやろう」
「私もやめたらって言ったんだけどね…」


何でパスカルの言葉が分かるんだろうか。コポーコポー言ってるのしか聞こえないんだけど。
というかパスカル止めるんなら私も止めろよ。あ、シェリアがこの水着を推したんだったね。あはは。


「そうだ、それよりソフィの水着かわいいでしょ?」
「にゃ〜お。ヒューバート、教官」


何を言っているんだ、ソフィ。可愛い、可愛いけど男にそれを言ったらマズいだろ。

「へぇ、かわいいじゃありませんか。ねこですね」
「うん。発情期のねこ」
「ブハッ!」


ど、どこで覚えたのそんな言葉!危うく倒れそうになったじゃないか!


「ちょ、ちょっと何言ってるのよソフィ!」
「その…まさか、シェリアが…吹き込んだのですか?」
「そ、そんなわけないでしょう!」
「ごめんなさい、間違えた、成長期のねこだった」
「あぁ大間違いだな。気をつけろよ」


にまにましながらマリクさんが言った。お前か!彼の方を見た瞬間、目が合った。
あれ、なんだか嫌な予感が



「それで、名前はいつまでシェリアの背に隠れているつもりだ?」
「最後まで」
「そんなの駄目よ!ほら、離れなさい!」
「コポー!」
「ちょ、待って…やめ、て!」


二人がかりでシェリアから剥がされた結果、私の体は砂浜に倒された。
うええ、口の中に砂が入って気持ち悪い…!


ゆっくりと体を起こすと、ヒューバートと目が合った。その鼻から一筋の赤い線が流れ落ちる。



「絶景だな」



そんなヒューバートの肩をマリクさんがにやにやしながら叩く。その反対側の肩を同じような顔でシェリアが叩いた。
いや、ちょっと待てい。今マリクさんはなんと言った?


改めて自分の格好を確認する。



面積の狭い水着、最近は何かとたくさんあったからストレスのせいで血色の悪い肌(イコール白いということだ)それに栄えた黒。
そして肩口からズルリと垂れ下がった紐。幸い、見えてはいけないものが見えるということにはなっていなかったが、これはかなり…


「っ、いやーっ!」


私は急いで立ち上がり、男二人に張り手を喰らわすと急いで更衣室に駆け込んだ。





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つづく?

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