みんなが集合した後、フーリエさんやポアソンちゃん、ケリー様など、私達がこれから決戦に向かうのだと知っている人たち数名が見送りにやってきてくれた。
もし、お父さんが生きていたら…ここにお父さんがいたのかな。見送りに来てくれたのかな、なんてちょっと考えてしまった。



「(お父さん…私、行ってくるね)」



青く晴れ渡った空を見上げながら、私は心の中で父を想った。そして、シャトルが置いてある広地にみんなで向かう。
パスカルが少しだけ最終確認してくる、と言いシャトルの中に向かったので、ほかの皆は少しの間だけ、シャトルの周りで思い思いにすごすことになった。



「名前、少し向こうへ行きませんか?」
「え…でも大丈夫かな」
「時間が無いんです、早く!」


そういうヒューバートに連れてこられたのは、みんながいる所とは反対側。シャトルの反対側だ。
少しだけ戸惑っていると、ヒューバートに抱きしめられる。



「っ!ヒューバート…?」
「すみません、でも…シェリアたちが抱きしめたのにぼくだけ出来ないなんて悔しくて…」
「でも、昨日ヒューバートに抱きしめられたけど…」
「そ、それはそれ!これはこれです!」
「はぁ…」


よく分からなくて、まぁとりあえずヒューバートの背に手を回すと、先ほどよりもきつく抱きしめられた。




「はぁ、駄目ですね」
「何が…?」
「貴女がぼくの想いに答えてくれて、嬉しいんです」
「……うん」
「でも、答えてくれたら答えてくれたで…困ったことが起きました」
「え…?」
「これは、以前から酷かったのですが…ぼくは少し嫉妬をしてしまうみたいです」
「お、女の子にも?」
「…はい」



そう言って顔を真っ赤にするヒューバートが可愛くて、くすくす笑うと怒られてしまった。
だがすぐに彼は私と少しだけ距離を取り、真面目な表情になる。



「ヒューバート…?」
「名前、何かあったら必ず言ってくださいね」
「え…」
「言わないと、ぼくたちには分からないんです。辛くなったり、もし何かおかしなことが起きたら…」
「わかってる。…決めたの、皆には迷惑かけちゃうかもしれないけど…でもね、一人で抱え込まないようにしようって思ったの」
「…そう、ですか」



ヒューバートは再び私を包み込み、額に優しく唇を落とした。




「そこは唇だろう!」
「ちょ、教官!そんなに大声を出したら…」


「……」
「え…」



見ると、シャトルの影に誰かが隠れた。
だが声で分かる。しかも誰だか特定できる呼称も出た。

隣にいるヒューバートの肩がわなわなと震える。これは…爆発するね。



「え、あの二人付き合っていたのか…?」
「ねぇアスベル、付き合うって何?」
「へぇー、まぁあたしは前からお似合いだな〜とか思ってたけどね!」
「皆さん…空気くらい読んでください!」



そう言うとヒューバートはみんなの下へと怒りながら走っていった。
みんなは笑いながら逃げてゆき、私は歩いてそれを追いかけた。


大丈夫、大丈夫だ。きっと…、みんなで笑って帰ってこられるよ。









人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -