朝起きて、顔を洗って…朝食を済まして。当たり前で普通な朝。
当然のようにやってきて、私達はさも当然のようにご飯を食べて、顔を洗って。当然というのが、どれだけ素晴らしいことなのか。こんな事態になるまで気づけなかったのはとても恥ずかしいことだ。
…私達は今日、その「当然」を守るために星の核へと向かうのだ。


欠伸をしながら集合場所である中央広場へと向かった。
ここは中々思い入れ深い場所だ。アスベルたちと鬼ごっこをしたり、シェリアと河原でお喋りしたり…。



「あ、名前」


ソフィが私に駆け寄ってきて、私に抱きついた。その様子が可愛くて、私は彼女の頭を撫でる。
それから、マリクさんとシェリア…そしてヒューバートが私とソフィの近くに寄ってきた。



「おはよう、名前。昨日はよく眠れた?」
「おはようシェリア。うん、お陰さまでぐっすり眠れたよ」
「その割には夜遅くに帰っていたようだがな」
「マ、マリクさん!」



マリクさんの言葉に過剰反応したのはヒューバート。
その様子にソフィは首をかしげ、マリクさんは怪しく笑い、そしてシェリアは一瞬ポカンとした後、すぐにニヤニヤ顔になった。



「あら…?あらら、もしかして?」
「あぁ、もしかしてのもしかしてかもな」
「キャーっ!ヒューバート、おめでとうっ!」
「ちょ、シェリア!背中を叩かないでください!」
「否定しないって事は本当なのね!よかったじゃない、ヒューバート!7年越しの片思い、ついに完結!」
「う、うるさいですよ!というか7年越しの片思いって!自分はどうなんですか!自分は!」
「私はいいの!私は!それより、名前…ヒューバートには失礼だけどどうしてOKしたの?」



シェリアの問いに、私は昨日の夜…ヒューバートに二回目の告白をされた時くらい顔が真っ赤になった。
すぐにシェリアに駆け寄り、彼女の耳元で小さな声で耳打ちする。



「あ、後で言うから!ヒューバートの前で言うなんて、ただの羞恥プレイじゃん!」
「後っていつよ」
「後ったら後!」
「いい?名前。私達には後が無いかもしれないのよ」
「あ…」


そう、私達には後が無い…かもしれない。後回しにしたら、一生出来ないかもしれない…って。



「そういう問題じゃないでしょ!」
「それはそうだけど…気になるじゃない」
「…気づいたら」
「え?」



きっと私は今、茹蛸のようになっているのだろう。あぁ、恥ずかしい。あぁ、恥ずかしい。
ぽかんとしていたシェリアに、再び告げる。



「気づいたら…、好きだったの」
「っー!名前…、貴女…なんて可愛いの!」
「あれ、シェリアが名前に抱きついてるー!いいな、あたしも混ぜてよ!」
「おはようパスカル。遅かったわね」
「今さっき起きたんだよ。こんなに遅く起きたの初めてだよ。きっと久しぶりにお風呂に入ったからだよねー」
「パスカルの寝坊は今に始まったことじゃないわよ。それに貴女…やっとお風呂に入ったのね」
「うん。お姉ちゃんに怒られちゃってねぇ」



いつの間にか、ソフィも加わっている。覆いかぶさるように3人の女の子は私を抱きしめた。
一人一人の体重は軽いが、3人合わさったら彼女たちには悪いが重い。重すぎる。


ヒューバートに助けを求めると、彼は真っ赤な顔で怒りながら彼女たちを叱った。



それから数分後にアスベルがやってきたのだが、そんなアスベルにパスカルが一言。




「もー、アスベル!遅いよ!」




君が言っていい台詞じゃない。






「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -