「ラムダに干渉されているかもしれないって…どういうことだ?」




視線を私に向けてアスベルが話し始める。…ソフィの視線がとても痛かったが、隣でヒューバートが優しく手を握っていてくれたため、安心して話すことが出来そうだ。
私はゆっくりと口を開いた。あのラムダの繭の中での出来事を、今まで自分に伝わってきたラムダの感情の事をみんなに伝える。




「名前…、苦しかったでしょ…?」
「…大丈夫。私…みんなに迷惑かけないから、一緒に…行ってもいい?」
「あぁ、それはもちろんだ。…だが…」
「私は大丈夫だよ。…でもね、もし私が変な行動を起こした時は……」
「いいや、必ず全員で帰ってくるんだ。名前も、ソフィも…リチャードも!」



アスベルの言葉に私は涙ぐみながら頷くと、ヒューバートとは違う白く細い指が私の手を握る。…ソフィだった。
ソフィは私の左手を両手で包み込み、大きな彼女の瞳は私を確かに映していた。



「ソフィ…」
「名前、ごめんね。名前はわたしはわたしだって言ってくれたのに、わたしは名前を疑ってしまった」
「いいの。いいの、ソフィ」
「ねぇ名前…。また、手をつなごう」



ソフィの言葉に頷くと、私の手を包み込んでいた手に自分の指を絡めた。



もう大丈夫。苦しくなんて、ない。






「ソフィ。名前の事はどうにかできないのか?」
「…わからない。さっきの花畑でやった事も効いてなかったみたいだし」
「何か手は無いのか…、このままでは名前が…」
「ねぇ、あたしたちみんなの原素を、さらに名前へ渡すってことはできないのかな?」



提案をしてくれたパスカルの方へ皆の視線は向く。
パスカルは私を見てにこっと笑ってから、再び話し始めた。



「ソフィ一人の力じゃ無理だったんでしょ?だったら、あたしたちみんなの原素を名前に分けるって事…できないかな?」
「そうか…、一人の力ではなく皆の力を合わせたら…!」
「でも…」
「やってみましょう、ソフィ。いいわよね?名前」
「うん、ありがとう」



皆は私を中心に円になった。6人が手をつなぎ、私はその中央で静かに待つ。
辺り一面が光り始める…。シェリアが優しく私に微笑みかけた。…これで、私は…






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テーマ「人外ファンタジー」
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