静かな海を背に、私たちはソフィを囲むように円を描く。美しい花々に囲まれたソフィの姿かたちは、やっぱり昔と変わらなかった。
だけど彼女は七年前とは確かに違う。彼女は自覚している。…自分が特別な存在だということを。



久しぶりに訪れた花畑は7年前と全く変わっていなかった。その光景が嬉しくもあり、悲しくもあった。
アスベルやソフィ、ヒューバートにシェリア、リチャードに私…。こんなにも変わってしまった。それなのに、ここは変わらず在り続ける。…それが少しだけ、悔しかった。



「これから、ここの原素をわたしの中に取り入れる。それから、それをみんなに…わける。そうすれば、ラムダの干渉を受けず進めるようになる」


ソフィはみんなを見回す。だが私を見ると一瞬だけ動きを止めた。ソフィは口を開こうとしたが、私は彼女を避けるように視線をずらした。
ごめんね、ソフィ。だけど、今ここでその話をされるわけにはいかないのだ。


「…じゃあ、始める」


ソフィが視線を戻し目を閉じると、シェリアがすぐに声をあげた。
それに続けてパスカルとヒューバートも、アスベルもマリクも…みんな、みんな驚きと興奮の混じった声をあげた。


「…終わった。これでもう大丈夫」


ソフィが安心したように呟いた。他のみんなも、ほっと息をついた。
だが、私は逆に息が詰まりそうになった。


私は何も感じなかった


何も、感じなかったのだ。





「ソフィはオレたちにラムダとの最後の戦いに臨む力を与えてくれたのだな。オレたちも全力を尽くそう。二度とソフィが自分だけを犠牲にするなどと考えないように」
「そうだね。こうなったらソフィの出る幕がないくらい大活躍しちゃおうか」
「ソフィ、約束だ。自分だけでなんとかしようとするな。最後まで俺たちは一緒だ」



最後まで、一緒。
ねぇ、アスベル…。本当に?本当に一緒?






私は…、本当のことを彼らに…、仲間達に…





(次回からは別々の話が展開していきます)

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