騒がしい教室、見慣れた光景。
私はため息をついて、それから図書館で借りてきた本を開く。教室の隅で談笑していた女子たちが私のほうを見ながらコソコソ話をしているのが見えた。理由なんて、わかってるけど。
きゃいきゃい騒ぐ女子。貴女たちには私が異常に見えるのかもしれないけど、私から見たら貴女たちのほうが異常だ。

此処は居心地が悪い。本を閉じながら、もう一度ため息をついて立ち上がった時だった。ポケットに入れていた携帯がブルリと震えた。
取り出して確認してみると、そこには思いもよらなかった人物の名前が表示されていた。


「……!!」











一年以上前、私は二つ年上の男性と付き合っていた。
とても優しくて格好良くて、何でも知っていて…。その人といる時間が楽しくて仕方なかった。手もつないだ、抱き合った、キスもした、セックスもした。毎日が幸せだった。女の子が読む雑誌を読み漁って少しでも可愛くなろう可愛くなろうと努力した。この幸せが永遠に続くようにって毎日のように願った。…だけど。



ある日、彼が知らない女の人と歩いている所を目撃してしまった。



私より綺麗なお姉さん。服装、髪型、仕草、すべてがすべて、負けていた。だけど私は彼に愛されていた自信があったから、彼に聞いてみた。そしたら、彼は私の肩を押して「終わりだな」と告げた。私はわけがわからなかった。


彼は私をアッサリと捨てたのだ。



私は浮気相手だったらしい。




私は玩具だったらしい。







「好きだよ、名前」

そう言って笑ってくれた彼は、いったい何だったのだろうか。
ファッション雑誌を読み漁った私、彼に近づこうと、彼と並ぶことができるように努力した、私はいったい何だったのだろうか。
私の、この気持ちは、いったい、何だったのだろうか?




恋愛なんて、馬鹿みたい。




私、馬鹿みたい。











一年以上経った今でも、忘れることができないあの出来事。幸せだったからこそ、忘れることができない。苦痛だったからこそ、忘れることができない。私の心に一生残る傷だ。…なのに。




『俺たち、よりを戻さないか』




携帯電話に表示された文字。たった一行。なのに、それは私の心をひどく掻き乱した。
携帯を持つ手が、震える。







何もかも異常だ。





20120516




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